韓国がまたも国際常識を無視した難癖をつけてきた。戦時中に日本企業に強制徴用された「元徴用工」による過去最大規模の賠償訴訟が起こされたのだ。原告側代理人を務めるのはロバート・A・スウィフト弁護士だ。アメリカ・フィラデルフィアに事務所を構え、国際人権派弁護士として数多くの国で国家賠償訴訟などに携わってきた人物である。
6月6日にソウル市内でスウィフト氏ら弁護団が会見し、昨年12月に元徴用工とその遺族ら252人が原告となって、三菱重工業、住友重機械工業、昭和電工の3社に損害賠償を求める訴訟をソウル中央地裁に起こしていたことを明らかにした。
元徴用工たちは1人あたり1000万ウォン(約100万円)の賠償を求めており、さらに弁護団は今後、原告を1000人規模、被告となる日本企業を16社に拡大する方針を示した。同氏は今回の訴訟に携わることになった経緯をこう説明する。
「私は過去28年にわたって人権問題の訴訟に焦点を当てて活動してきました。マルコス・元フィリピン大統領による人権侵害の被害者のための訴訟や、スイスやドイツの企業に対するホロコースト訴訟に携わってきました。韓国の元徴用工問題に興味を持ったのは2000年頃。朝鮮戦争での老斤里大虐殺(米軍による韓国民間人虐殺事件)の生存者とともに活動していた時のことです」
同氏がヨーロッパなどで取り扱った訴訟では、国や企業を相手に数十億ドルの賠償を勝ち取ったといい、韓国メディアはそれを大々的に報じている。そんな“スゴ腕弁護士”が練る戦略は、被告の日本企業にとって大きな脅威となる。
同氏は6日の記者会見で「勝訴した場合、その判決文をもってアメリカで活動する被告日本企業の資産差し押さえを求める」とブチ上げたのだ。
三菱重工をはじめ被告企業は韓国国内よりもアメリカに重要な生産拠点や販売網を持つ。スウィフト氏は本誌の問いに自信を持ってこう答える。
「韓国の裁判所で出た判決は、アメリカを含む他の国々でも効力が認められる余地があります。アメリカの裁判所で認められれば、被告企業の米国内資産を差し押さえられるのです」
韓国で確定した判決文をもとにアメリカの裁判所に被告企業の資産差し押さえを申し立てた場合、「日本企業側に新たな反論の機会はなく、裁判所が判決内容だけを見て判断するので申し立てが認められる可能性が十分にある」というのがスウィフト氏の主張だ。
※週刊ポスト2014年6月27日号