拉致被害者の再調査をめぐる日朝交渉に関連して、焦点となっている朝鮮総連本部ビル(東京・千代田区)の売却問題について、同ビルを総連側に極秘返還するシナリオの存在を6月23日発売の週刊ポスト7月4日号が報じている。
総連ビルは競売にかけられ、2013年3月に1度目の入札が行なわれた。入札では鹿児島の宗教団体が落札したものの資金調達が不調に終わり断念。2度目の入札ではモンゴル企業が落札したが書類の不備で失格となり、次点だったマルナカホールディングス(高松市)が22億1000万円で落札し、売却許可を得ていた。最高裁は6月19日付で総連側が供託金1億円を納めることを条件として一時的に売却許可の効力を停止する決定をしており、総連ビルの行方が注目を集めている。
同誌によれば、京都駅近くにある3300坪の広大な土地が「総連ビル返還シナリオの鍵を握る」という。
記事では京都のシンクタンク代表を務め、日本の政財界にも広く人脈を持つX氏について触れ、「X氏が朝鮮総連の許宗萬(ホ・ジョンマン)議長と面会して総連ビル問題について話し合ったと見ている」という公安関係者のコメントを紹介。
同誌がX氏を直撃したところ、「この案件は一民間企業の話ではなく、日本政府と総連、マルナカHDの合意がなければ到底解決しないと考えている。5月28日に私が許議長と面会したのは事実だ。私は日本の公的機関の関係者からマルナカHDと総連の間に入って問題解決に協力してほしいと依頼されて許議長と会った」と語っている。
同誌では京都の土地を利用して北朝鮮サイドに総連ビルを返還させる計画について詳しく報じているが、マルナカHDの代理人弁護士は「京都の土地の件は知らない」と回答している。