サッカーワールドカップブラジル大会での日本代表の戦いは、グループリーグ2戦目まで終わり、リーグ最後の大一番はFIFAランキング8位のコロンビア。世界に名だたる強豪国だが、ザックジャパンが付け入る隙はある。不安定なセンターバック(CB)だ。では、日本の対コロンビア「勝利」の戦略はどうなるか。
サッカージャーナリストの西部謙司氏は、「定石通り、サイドからの切り崩し」が重要と語る。
「左サイドバック(SB)が上がりっぱなしであることが目立つうえ、CBのジェペスも遅い。この時に空いたスペースを有効に使うべきですね。岡崎慎司や内田篤人といった縦へのスピードのある選手がキーマンになる」
コロンビア-ギリシャ戦の状況を考えると、日本が得意とする左からだけでなく右からの攻めも有効となり得る。当然、長友佑都もキーマンだ。そのうえで西部氏は、香川真司のポジション変更を提案する。
「香川をサイドから外してトップ下にし、左サイドには大久保嘉人を起用してはどうでしょうか。コートジボワール戦では、守備に不安のある香川の左サイドを破られて2失点した。コロンビアもここを狙ってくるのは間違いない。攻撃に集中するためにも、不安要素はあらかじめ取り除いておくべきです。
そしてワントップに本田圭佑。本田はスピード面に難があるので2列目では厳しいが、トップならキープ力の高さやコートジボワール戦で見せた決定力が生きる。この布陣が、コロンビアの守備に対して最も有効です」
もう1つ考えられるのは、CBを徹底的にいじめ抜くことである。
日本がこれまでの戦い方にこだわり、ショートパスを横に繋ごうとすれば、コロンビアの高い位置でのプレスに引っかかり、すぐにボールを奪われるのがオチとなる。いっそのこと前線に長い縦パスを放り込んで、FWとジェペス、サパタとの勝負に持ち込んでみるのも面白い。
ジェペスは日本の選手のスピードについてこられない可能性が高い。サパタも動きに不安があり、ジェペスが慌ててフォローする場面も多々見られる。不安定なCB陣のところまでダイレクトにボールを運ぶことができれば、コロンビアの守りに混乱が生まれることは間違いない。
日本代表は、圧倒的不利といわれるなか、コロンビアを倒して「クイアバの奇跡」を起こせるか── 一番の敵は選手も我々も持つ「無理ではないか」という先入観だ。
※週刊ポスト2014年7月4日号