男性で60%、女性で40%が生涯のうちに罹患するといわれるがん。とはいえ、がんになったから死ぬというものではなく、治療しながら「がんと生きていく」というケースも多い。
しかし、気になるのが治療費だ。その負担を軽減するという点では、「高額療養費制度」を活用したい。1か月に支払った医療費の自己負担額が一定額を超えた場合に、超えた金額が公的医療保険から支給されるというものだ。
一般所得者(月収53万円未満で住民税非課税者を除く)で70才未満なら「1か月の自己負担額が8万100円を上回った場合」に適用される。正確には1か月あたりの負担額は「8万100円+(医療費−26万7000円)×1%」で算出され、極端にいえば、がん治療にひと月100万円かかったとしても、「高額療養費制度」を申請すれば、実際の支払いは約9万円ですむことになる。
制度を使うには公的医療保険に支給申請書を提出する必要があるが、今はそれがより容易になっている。以前は申請してから医療費が戻ってくるまでに最短でも3か月かかり、貯金など余裕のない人はその間の資金繰りが大変だったが、昨年4月から治療前に事前申請すれば窓口支払いを上限額で納められるようになった。
さらに税金の面でも、年間の医療費が10万円を超えた分については、確定申告で「医療費控除」を受けられる。サラリーマンでも確定申告はできるので、生活の負担をより軽くするためにも、納める税金を少しでも取り戻したいものだ。一般社団法人バトン「保険相談室」代表の後田亨さんがアドバイスする。
「いざという時になって『話が違う』と騒いでも通用しません。事前確認に注力すべきです。加入前に誤解されがちな例などを尋ねておく。例えば『通院も保障します』とうたっている保険でも、治療のための通院には給付金が支払われますが、検査のための通院には支払われません。治療を目的としていないからです。そうしたことも契約を結ぶ前に確認しておけば、後から不満に思うことはないはずです」
※女性セブン2014年7月3日号