消費税が上がった直後に車を買うなんて──。多くの人はそう思うに違いない。しかし、こと「中古車」に関しては、それは間違っている。
「新車なら500万円はするBMWの中古車、しかも走行距離わずか25kmのSUVを300万円でゲットした!」など、喜びの声がそこかしこから聞こえてくるのである。4月以降、このようなお得な「中古車」を手に入れたという証言が続出している。
4月1日から消費税は5%から8%へと切り替わった。そのため増税直前には「駆け込み需要」で多くの自動車が買われ、増税以降の自動車市場は冷え込んでいる。
しかし、だからこそ「中古車」が狙い目なのだ。販売価格が決まっている新車に対し、中古車は需要と供給のバランスで価格が決まる。需要が落ち、供給が上回れば当然価格は下がる。
5月に発表された日本中古自動車販売協会連合会による4月の中古車オークションの平均落札価格は23万4000円。消費税の3%増が加わっているのに、前年同月に比べて9.4%も安い。モータージャーナリストの岡本幸一郎氏がいう。
「増税前の新車購入に合わせて、それまで乗っていた車を手放す人が増え、それが中古車市場に出回っているからです。加えて買い手が少ない。
また、春は例年中古車がよく売れる時期で、4月から夏にかけて値段は下がっていくもの。中古車は消費者にとってお買い得相場です」
現在導入されている「エコカー減税」は、来年4月末で終了する予定。考えたくないが、来年には消費税が10%にアップする可能性も否定できない。近々、自動車購入を考えているのなら、決断は早いほうがいいという考え方もある。
販売店の事情もある。ある中古車販売業者がいう。
「営業マンには販売ノルマが課されている。増税後の厳しい状況の中、“1台でも多く売らなければ”と考えているため、お客さんからすれば有利に値引き交渉が進められるんです。新車の取り扱いがあるディーラーの場合は、増税前の駆け込みキャンペーンで使った展示車や試乗車などを“目玉商品”として売り出すこともある」
冒頭で紹介した300万円のBMWはそういった経緯から販売されたクルマのようだ。
※週刊ポスト2014年7月4日号