中国共産党機関紙「人民日報」(電子版)は習近平・国家主席が16歳から23歳まで陝西省で過ごした青春時代について語った10年前のテレビ番組を紹介。習氏の人生の原点が陝西省時代にあるとして、4つのキーワードをもとに、習氏の人生哲学を明らかにした。習氏がメディアの単独インタビューに応じるのは珍しく、自身のことを赤裸々に語るのは極めてまれだ。
この番組は10年前、習氏が浙江省トップの省党委書記のときに、陝西省の延安テレビに語ったもの。習氏は文化大革命時代(1966~1976年)、16歳から7年間、毛沢東主席の「若者は農村で革命を学ぼう」という呼びかけに応じて、同省北部の梁家河村で過ごしている。習氏はその際の経験を4つのキーワードにして語っている。
まず、第1は「真」。中国語の「真誠」で「うそ偽りがない」という意味で、「率直」とか「質朴」「まっすぐ」という意味にも転じる。
習氏は番組のなかで、大都会の北京市出身の自分は農村での生活をしたことがなく、あまりの生活の厳しさに3か月で北京に逃げ帰ったこともあったと率直に告白。しかし、その後、心を入れ替えて陝西省に戻り、農民とともにまじめに農作業に重視。農民らと正直に接し、徐々に信頼を勝ち得たとして、まずはまっすぐな気持ちで人と接すれば、必ず道は開けると指摘した。
次のキーワードは「義」。正義であり、正しい気風、それが転じて、庶民と心を一つにして仕事を成し遂げることとなる。
習氏の梁家河での生活は当初、慣れないことだらけで、とくに「窰洞(ヤオトン)」という洞窟に住むことが苦痛で、ノミやシラミのほか、よく分からない虫に食われて、身体が真っ赤に腫れ上がるという体験もし、なかなか農民と打ち解けることができなかった。だが、徐々に彼らの心情も分かってきて、仕事も一緒にできるようになってきた。要は、彼らと志を同じくして、自分の心を開いていけば、心を一つにして仕事を成し遂げることができるということだと習氏は強調する。
第3は「実」。実務の意味で、無駄話をせずに、実績を重視するというもの。習氏は陝西省時代、口より先に行動を重視してきたとして、さまざまな難関も真っ正面から取り組んできたことが、「いまの私がある」と語る。
第4は「信」。信念が一番分かりやすく、習氏は毛沢東主席の言葉を信じ、共産党思想を一生懸命学習し、行動や思想の核としたことが、「私の人生の基本的思想となった」と述懐する。
同紙は「これら4つのキーワードは最高指導者になったいまも、習氏の講話や演説にしばしば登場するもので、彼自身の思想的原点は陝西省時代にあったことは明白だ」と指摘している。