わずか2000円で、全国各地の名産品が届く。そんな制度が注目を浴びている。ブームの「ふるさと納税」の賢い活用術を解説しよう。
ふるさと納税がなぜ注目されているかといえば、実施するほとんどの自治体が、寄付に対する「記念品」を用意しているからだ。野菜や米、果物、肉や海産物といった特産品が中心で、寄付額の3~5割相当の価格の品物を送る自治体が多い。
現在、ふるさと納税を受け付けるのは全国で1788自治体(6月18日現在)。寄付金額の下限は多くが「5000円以上」に設定されており、金額に応じて記念品が変わるケースが多い。中には群馬県富岡市のように「寄付金50万円で18万3600円相当のシルク掛け布団」といった高額品を用意している自治体や、兵庫県加西市のように「3万円から100万円以上」までの寄付金額をポイント換算しカタログから自由に記念品を選べる自治体もある。
この制度、名前に「納税」と付いているものの、実態は「寄付」だ。居住地以外の自治体に寄付すると、その額の「2000円を超える部分」が所得税と個人住民税から控除される仕組み(寄付控除)になっている。
知っておいていただきたいのは、この控除はその人の年収や扶養家族の状況によって「上限額」が変わってくること。平均的サラリーマンの場合は概算で年間の住民税額の12~13%ほどが上限になる。
別表にいくつかの事例を示したが、妻と2人暮らしのサラリーマンの場合、一般的に控除をフルで受けるための寄付上限額は3万円。この額は所得が多いほど増え、年収700万円なら5万5000円、1000円なら9万円、1500万円なら19万円となる。高い住民税に悩まされている人ほど、ふるさと納税は有効になる。
たとえば、年収500万円で専業主婦の妻と2人暮らしのサラリーマン・A氏のケースを見てみよう。
A氏は所得税を年間で約17万円、住民税を約23万円支払っている。このA氏が3万円のふるさと納税をした場合、所得税が2800円、住民税が2万5200円、計2万8000円が確定申告で戻ってくる。
差し引き2000円の追加負担で記念品を得られることになる。
これは勘違いしやすいポイントだが、控除は1つの寄付だけにしか認められないわけではない。先の上限額に達しない限り、B自治体、C自治体、D自治体と複数の寄付を行なっても控除の対象となる。つまりうまく使えば、わずか2000円のみの負担で複数の記念品をゲットできるというわけだ。
※週刊ポスト2014年7月4日号