2012年6月29日に亡くなった地井武男さん(享年70)の後妻・A子さん(60才)は今、大きな決断を下そうとしている。
「地井さんの遺骨は13年前に亡くなった前妻のお墓に納骨されているのですが、A子さんは三回忌にあたって分骨して、自分と一緒に入れるお墓を作ろうと考えているんです」(A子さんの知人)
地井さんとA子さんが結婚したのは2004年のこと。前妻・佐和子さん(享年61)を乳がんで亡くし、わずか3年後のことだった。
「A子さんは佐和子さんの旧知の友人で、佐和子さんの闘病中も手紙のやりとりをするほどの仲でした。だから死期を悟った佐和子さんは、“お父さん(地井さん)をよろしくお願いします”と、A子さんに託していたそうなんです」(地井家を知る人)
佐和子さんの死後、A子さんが地井さんを励ます手紙を送ったことでふたりは再会。A子さんもバツイチで連れ子がいたが、佐和子さんの三回忌を終えて、ふたりは結婚した。これには地井さんのひとり娘(38才)も大賛成だったという。
しかし2012年6月29日、地井さんは心不全のため帰らぬ人となってしまう。深い悲しみのなか、A子さんが向き合わなければならなかったのは墓の問題だった。地井さんは千葉県内の公園墓地に佐和子さんの墓を建てていて、A子さんはその墓に地井さんの遺骨を納めなければならなかったのだ。
「A子さんは地井さんから、自分の骨は前妻の墓に納骨するようお願いされていたんです。地井さんの気持ちは理解していたし、前妻とも親しかったから彼女も納得していました。でも、実際に納骨となると自分の元から前妻の元へ返すようで寂しかったんでしょうね。49日法要後もしばらくは納骨できずにいましたから」(前出・A子さんの知人)
A子さんが納骨に踏み切ったのは、地井さんの死から4か月後のことだった。
それから2年が経ち、60才になったA子さんは自身の墓についても考えるようになっていた。彼女の場合、考えられる選択肢は3つ。前妻と地井さんが眠る墓に自分も入るか、全く新しいお墓にひとりで入るか、あるいは前妻と眠る地井さんの骨を分骨して、新しい墓にふたりで入るのかだ。
「いくら前妻と仲が良いとはいえ同じお墓に入るのは気が引けるし、かといって地井さんとも離れたくない。A子さんにはひとり息子がいますが、自分のお墓をどうするか自分自身で決めておかなければ、分骨するのかしないのか、新しいお墓を作るのか作らないのかを彼に考えてもらわなければならない。そんな難しい選択を任せるわけにはいかないと自分が元気なうちに決めてしまおうという深謀遠慮があったんです」(前出・A子さんの知人)
悩んだ末にA子さんが出した結論は、納骨されている地井さんの遺骨の一部を取り出して、新たな墓に分骨することだった。一度納骨した遺骨を分骨する場合、お墓の使用権を所有する人物の同意が必要となる。
「前妻のお墓の所有権を持つ地井さんが亡くなると、その権利を彼の娘さんが継ぐことになりました。A子さんが継ぐのが普通なんでしょうが、娘さんの気持ちを考えたんでしょうね。
血の繋がらない父の後妻から分骨をお願いされても簡単に応じられないのが普通だと思います。でも、娘さんはA子さんに心から感謝していますから…。A子さんがお母さんにしてくれたこと、A子さんが地井さんを懸命に愛してくれたこと、A子さんが地井家のお墓の世話までしてくれたこと、そうしたことを全部見ていましたから、何も言わずに認めてあげたんだと思います。地井さんの三回忌を機に分骨の手続きをするそうですよ」(前出・地井家の知人)
※女性セブン2014年7月10日号