今回のサッカーW杯ブラジル大会には、アジア枠から日本、韓国、イラン、オーストラリアと4か国が出場したが、いずれの国も1勝すらすることができず、グループリーグで敗退した。アジアには、W杯出場枠4.5(大陸間プレーオフを含む)が与えられている。
1994年のアメリカ大会までは2枠しかなかったが、1998年のフランス大会から出場国が24から32に増えたこともあり、3.5枠に。日韓共催の2002年は開催国(日本、韓国)プラス2.5の4.5枠となり、現在まで続いている。
だが、今大会で全チームがグループリーグ敗退となったことで、アジア枠削減の議論が上がってきてもおかしくない。この状況に対し、テレビ局関係者はこう反応する。
「W杯本大会の日本戦の視聴率が一時期と比べて、伸びなくなってきている。その一つの要因に、アジア4.5枠があると思います。予選通過が当たり前になっているので、視聴者に選手と一緒に戦ってきたという“戦友感”を抱かせにくい。今はW杯で選手名を覚える人も少なくないでしょう。
フランス大会の予選時はハラハラドキドキもので、とにかく盛り上がった。アジア枠の設定(3.5)が絶妙で、天国と地獄を彷徨い続けましたからね。その分、世間の興味を集め、視聴率も試合毎に上がっていった。
そのおかげで、予選中にレギュラー選手の名前はあらゆる世代に浸透した。W杯前にはかなり知れ渡っていたわけです。だが、ザックジャパンは本田圭佑や香川真司、長友佑都あたりは有名だけど、DF陣の名前が老若男女まで名が知れているとは言い切れない。
もし4.5枠が削減されて、突破が難しくなると、予選が盛り上がり、高視聴率も期待できる。それによって、W杯も初戦から数字が上がるのではないか。もちろん、日本が予選を突破できなければ元も子もないですが」
テレビ局側の思惑としては、枠削減に加えて、こんな希望もあるという。
「もし、短期集中型の最終予選が開催してもらえるようなら、それが一番いい。今はかなり期間が空いて行なわれているので、連続性に欠ける。かつて、今より最終予選の期間が短かったアメリカ大会やフランス大会の予選は、いわば“連続ドラマ”のようなものでした。海外クラブに所属する選手が代表の大半を占めるようになった今では、難しいことなのかもしれませんが……」(同前)
テレビ局側の思惑通りに物事が運ぶとは限らないが、枠が減れば競争が激しくなるのは必然となるだろう。