国土交通省の調査によれば、平成24年3月末時点で全国のタクシーは23万7141台。平成元年が25万6,792台で、台数としてはそれほどの変化はないが、年間輸送人員は平成元年の30億人超から右下がりの16億2974万人となっている。
そんなタクシー業界では、さまざまなサービスを充実させてきている。たとえば「ケア輸送サービス」として高齢者、障害者等手助けが必要な方々の外出を支援。車椅子対応リフト、スロープ付きワンボックス型車両などの「福祉タクシー」は、平成32年度までに2万8000台の導入を目指している。「介護タクシー」は、ケア輸送士、ヘルパー資格の運転者や同乗するヘルパーが乗降介助や身体介護サービスを提供する。
また、安心して暮らせる社会のために、子供や妊婦向けのサービスも活性化。保育実習等の研修を受けたドライバーがチャイルドシートやジュニアシート等を備えて対応する「育児支援タクシー」のほか、2012年頃から急増しているのが、妊婦が安心して病院に行けるようためのサービスだ。
その草分けとなったのが、2012年からサービスを開始した日本交通の「陣痛タクシー」。東京23区・武蔵野市・三鷹市を中心に配車を行っており、スタート以来20,000件以上の登録、7,700件以上の利用があるという。
利用するためには、事前にかかりつけの病院などを登録しておき、指定の電話番号に連絡。緊急対応マニュアルを常備し、助産師さんのレクチャーを受けた運転手のタクシーにより、メーター料金+迎車料金410円で病院まで送ってくれる。乗車中、万が一破水するなどで車のシートを汚してしまっても、同社ではクリーニング代は請求しないという。
同様のサービスには「マタニティタクシー」(kmタクシー)、「はぴママサポートタクシー」(京王自動車)などがあり、料金後払いや防水シート完備といったサービスをおこなっているところも。
さまざまな利用客を想定し、タクシー業界は進化し続けている。