透明感ある柔らかな歌声を持つ韓国出身のシンガーソングライター・ホミン。東京で暮らす中で感じた文化や習慣の差を描いたイラストエッセイ『ホミンの東京ダイアリー』(共同通信社)には、ラジオDJの古家正亨(40才・ふるやまさゆき)と2010年に結婚してから4年の間に感じた日韓の文化や習慣、美意識、食などの相違やギャップが、ユーモアと愛情を込めて綴られている。“furuco(フルコ)”の愛称で呼ぶ夫とは、仕事で出会って3か月でつきあい、電撃婚かつ国際結婚!
「つきあって1週間でプロポーズされました。ハッハッハ」(ホミン・以下「」内同)
日本に興味を持っていた著者と、韓流の仕事を中心としている夫。互いに文化の違いはそれほど感じなかったが、驚いたのは人間関係だという。
「家族や友人というものの“概念”が韓国と違うのが最初は不思議でした。家族なのにそれぞれが独立している感じで、深く入っていけないところがいちばん慣れなかったです」
例えば、韓国では、嫁は義理の両親に毎日電話をしたり、頻繁に会いに行かないと“ダメな嫁”といわれてしまう。
「韓国と同じようにやらなくてはと、私から北海道にいるお義母さんに用事がなくても電話をしたら、“どうしたの?”って驚かれました」
韓国では、家族だけでなく、友達や仕事関係者とも密着したつきあいをする。そのため、日本の友達づきあいにみられる“一定の距離感”に戸惑ったこともある。
「韓国の人は友達でも仕事関係でも、夜寝ていても結婚していても、連絡が来たらいつでも会うんです。急に電話するのが失礼ではないんです。
韓国の良いところは情が厚くて、みんなでワイワイする環境です。悪くいえば、仕事にならないことが多いし、1人でいたくてもできないです。
日本の人間関係は少しクールで寂しく感じることはありますが、逆に程よい距離で優しくしてくれるところが好きでもあります」
当初は父親に反対された日本人との結婚だが、互いの家族は初対面で仲よくなり、今では著者夫妻がいなくてもボディーランゲージで交流し、夜中の2時まで飲み合う仲になった。
「父が反対したのも、今まで日本人と出会ったことがなかったから、ただ嫌だ怖いと言っていたのであって、家族になってみたら、日本人は尊敬できるところがいっぱいあるとわかる。それが国際結婚のいいところだと思います。
例えば政治的な問題などで悪口を言うのも、たぶん、交流した経験がなくて固定観念を持っている人だと思うんです。交流がどんどん増えたら、家族と同じように理解できて本当に仲よくなれると思っています」
近頃は、韓国で、日韓の国際結婚が増えているという。
「韓国人女性は気が強いから、結婚するなら優しい日本人女性がいいという韓国人男性が多い、と聞きますが、そういう偏見を持っていたり、互いにないものに一時的に惹かれて結婚してしまうと後から大変になります。日本人だから、韓国人だから、という見方ではなく、価値観や人間性、お互いの国のことを理解して尊敬し合えることがいちばん大事だと思います」
この4年間、日本で生活してきて最も実感したことは、感情表現や習慣といった文化の違いを感じるのは最初だけということ。
「一緒に生活してみると、実はみんな考えていることは同じだとよくわかりました。これからは、韓国で日本の良さを伝えていく懸け橋になれたらと思っています」
※女性セブン2014年7月10日号