プロ野球のセ・パ交流戦は巨人が2度目の優勝を果たした。その立役者には、交流戦3勝の小山雄輝と、交流戦から一軍に復帰し、規定打席には達していないながらも打率.356、3本塁打と打ちまくった亀井義行の名が挙がっている(記録はすべて交流戦終了までのもの)。その半面、ファンの間では、「アイツはもういらない」と囁かれる“裏MVP”の選手がいる。「キューバの至宝」として今季、鳴り物入りで入団したセペダである。
過去3度のWBCにはキューバ代表として出場し、いずれも大活躍。第2回には首位打者、ベストナインに選出された。その実績を買われて入団後に即4番として起用され、チーム内では「国賓」(中堅選手)と囁かれたが、28試合で打率は“身長並み”の.186、本塁打5本と期待を裏切った。おまけに緩慢な守備も問題視されて、ファンからは「顔も見たくない」、「他球団にとっての至宝」などと散々な言われよう。さすがに原辰徳監督も堪忍袋の緒を切らし、6月8日にはスタメン落ちを決断した。
するとその日から巨人は7連勝。上昇気流に乗った。交流戦前は3位だったセ・リーグの順位も首位に浮上したのである。リーグ制覇のためには、このまま放逐しておきたいところだろう。しかし巨人にはそれができない事情があるという。
「セペダはキューバ政府公認の助っ人で、今後キューバ球界とパイプを作っておきたい巨人としては、無下に扱うわけにはいかない。特に後半戦へのテコ入れで7月中にもキューバの投手を獲得したい思惑もあり、セペダを放逐できないんです。それにたまに代打で出すと本塁打を打ったりするから、なおさらタチが悪い(苦笑)。
巨人の外国人は他に打率.311のアンダーソンや、14本塁打を放っているロペスがいる。貴重な外国人枠をセペダで使わざるを得ず、セペダのせいで急ブレーキがかかってしまいかねない」(巨人番記者)
これまで完全にルートを閉ざされていたキューバから選手が獲得できるようになったのは、まさに革命的な出来事だった。しかし掴まされたのが完全にお荷物だったことで、巨人にとってはとんだ“キューバ革命”になってしまっている。
※週刊ポスト2014年7月11日号