シーズン半ばにさしかかったこの季節、「2年目のジンクス」に苦しむ選手と、活躍する選手に明暗が分かれている。明らかに様子がおかしいのは藤浪晋太郎(阪神)だ。昨年、10勝6敗、防御率2.75と見事に二桁勝利を挙げたが、「球威はあるが制球が乱れることが多い」(阪神OB)投球内容で、今季は12試合に登板して4勝4敗、防御率3.09とピリッとしない(数字は交流戦終了時までのもの)。
その一方で、ジンクスとは無縁なのが菅野智之(巨人)と大谷翔平の2人。菅野はすでに8勝3敗(昨季13勝6敗)、大谷も7勝1敗(同3勝0敗)と勝ち星先行でフル回転している。
そもそも「2年目のジンクス」はなぜ起きるのか。よく「他球団に警戒されて分析されるから」などといわれるが、むしろその投手本人に問題があると語るのは、村田兆治氏である。
「1年目の奮闘の結果、オフに肩を休めるため、投げなかった新人が陥りやすい。オフはむしろ投げる時期。休むことで好調時のフォームや指先の感覚が失われてしまい、キャンプで気づいて慌てて投げ込み、余計にフォームを崩すケースが多いですね。
もう一つは、球種を増やそうとして、フォームや元々の得意球を投げられなくなってしまうパターン。例えばスライダーを習得しようと投げこんだ結果、腕の振り方が変わってしまい、得意なカーブが投げられなくなるということはよくあります。プロで通用する変化球がきちんと操れるようになるのは、せいぜい3年目。本当に自信のある球を持っているなら、研究されてもそう打たれるものではないんですが」
村田氏によれば、こうした違和感に気づき、シーズン途中でも修正できる投手が本物なのだとか。その境目が、この7月のオールスター前後の時期だという。
「ベテラン投手陣に疲れがたまり、若手がマウンドを任される機会が増える。いま苦しんでいる2年目の投手が、夏場活躍できれば、一気に評価を上げられる」
ジンクス破りの夏を迎えられるか──。
※週刊ポスト2014年7月11日号