ブラジルW杯でグループリーグ2敗1分けに終わり敗退したサッカー日本代表。3試合の経過は、奇しくも8年前、ジーコ監督で臨んだドイツW杯と重なる。その大きな共通点が、チームに「王様」がいたことである。今回は本田圭佑、ドイツでは中田英寿。2人は、それぞれの世代における日本代表で傑出した存在だった。
しかしそのなかで、チームに「王様」を作ることが最大の失敗になる、と大会前に本誌で予言していたのが元日本サッカー協会副会長の釜本邦茂氏だ。釜本氏は週刊ポスト5月30日号の「“裸の王様”本田圭佑なら日本は負ける」と題した記事の中で、こんな言葉を残している。
〈本田には注文がある。もっと謙虚にならなければならない。自分のスタイルを前面に出すのはいいが、それは周囲の者が理解してこそだ。それに私は、他の選手たちにも責任があると思う。チームが本田の言い分を素直に受け入れすぎているように見えるのだ。本田に対して「それは違う」と反論する者が、現在の代表にはいないのではないか。
彼は紛れもない日本の中心選手だ。しかしだからこそ、彼を「裸の王様」にするようなことがあっては、日本は崩壊してしまう。それは中田英寿の時に、痛いほど経験したはずだ〉
※週刊ポスト2014年7月11日号