伝統あるコンサート会場として全国的にも知られている東京・中野区の中野サンプラザが、2020年から2024年をメドに解体・再整備されることが明らかになった。
中野区は、2020年に開催される東京五輪にあわせる形で、中野駅周辺の再開発を推進。建物の老朽化の激しい中野サンプラザ(1973年開業)もその対象となった。解体し、再整備するとのことだが、同様のホールが作られるかどうかは未定であり、中野サンプラザが完全に消滅してしまう可能性もある。
中野サンプラザといえば、数多くのアーティストがコンサートを開催してきた会場。最近ではアイドルの聖地としても知られている。アイドル事情に詳しい音楽ライターはこう話す。
「音響が素晴らしいのはもちろん、客席の傾斜が絶妙で、一番後ろの席でもステージがしっかり見える、とてもいい会場です。キャパシティーは2222席で、アイドルグループがここを満席にできれば、ブレイクの証といえるでしょう。
去年から今年にかけて、数多くのアイドルグループが日本武道館でコンサートを開いているんですが、そのほとんどが武道館の前に中野サンプラザでコンサートを成功させています。まさに登竜門的なホールと言えますね」
特に中野サンプラザを頻繁に利用しているのが、つんく♂プロデュースのアイドル集団・ハロー!プロジェクトだ。毎年正月と夏には、ハロー!プロジェクト全体のコンサートが開催されるほか、モーニング娘。やBerryz工房、℃-uteなど各グループの単独コンサートも中野サンプラザを利用している。
「実は一時期、ハロプロが所属するアップフロントグループが中野サンプラザを買収するのではないかという噂が出たほどに、ハロプロにとってはかなり重要な場所です。解体のニュースは、ファンたちにも大きな衝撃を与えています」(前出・音楽ライター)
中野サンプラザでコンサートをした経験があり、中野区生まれ・中野区育ちの中川翔子もツイッターで「中野サンプラザが解体、ショック!わあああああん」「ああああああ中野サンプラザなくなる喪失感、かなしい。壊さなくてもー!」などとつぶやいているが、各方面に大きな影響もありそうだ。
「ハロプロだけでなく、多くのアイドルがライブを行なっている“聖地”として親しまれている場所なので、中野サンプラザの解体はアイドル業界そのものにとっても大打撃です。中野サンプラザを目標にしているグループも少なくないので、早急に新たな“聖地”を見つける必要があるでしょうね。
ちなみに、ほぼ同じ規模の会場としては渋谷公会堂があるんですが、こちらも2018年くらいに建て直しが行われる予定で、“聖地”になるかどうかは未知数。そのほかには、五反田ゆうぽうとホール、オリンパスホール八王子、パシフィコ横浜国立大ホールなども新たな聖地候補ですが、いずれも知名度が足りなかったり、都心から距離があったりなど少々微妙。中野サンプラザがなくなるのは、本当に痛いですね」(前出音楽ライター)
中野サンプラザの解体工事が始まるまでの数年間で、新しい“アイドルの聖地”を確立することが、アイドル業界にとっての最重要ミッションとなりそうだ。