これまでは、「今どきの若者は…」と、老人が礼儀知らずの若者を嘆くのが常識だった。しかし、どうやら最近では「今どきの老人は…」と、傍若無人な高齢者の振る舞いにあ然となるようだ。
「駅で違法駐車を取り締まる横暴な老人の話などがメールできます。私に相談されても力になれないんですけどね」
そう笑うのは、2007年に『暴走老人!』(文藝春秋刊)を上梓した小説家の藤原智美さん。
トンデモ老人たちの被害者になりやすいのは女性が多いという。また、近年、そんな老人が増えている理由は「寂しさ」が根底にあると、藤原さんは分析する。
「現在は、人づきあいも希薄になり、寂しさを抱える老人が少なくありません。そんな孤独感がストレスとなり爆発するのです。最近では、キレる機会を狙う確信犯的な人もいますからね」(藤原さん)
そこで今回は暴走老人たちの驚くべき実態を紹介しよう。
「学校帰りの電車で前に立っていたおばあさんに席を譲ろうとすると、『年寄り扱いするな!』と怒鳴られ、大恥をかきました。でも別の日は、ほかのおばあさんに『最近の若い人は、席を譲らないの!?』と怒鳴られてしまう。席を譲っても譲らなくても、結局怒鳴られる私が哀れ…」(18才・高校生)
「風邪をひいて病院に行ったら、すでに大勢の患者さんが順番待ち中。「これは時間がかかるな~」なんて覚悟していたら、隣のおじいさんが『こんなに待たされたら、病気になるじゃないか!』といきなり怒鳴り出したんです。それでも、看護師さんたちは慣れたもの。サッとおじいさんをどこかに連れていってしまいました。後から聞いた話だと、毎週来ては必ず怒鳴るんだとか。充分元気だと思うんですけど…」(34才・パート)
「この前、取引先へ向かう電車の中で、カバンから『電卓』を出して仕事の書類を確認していたら、突然、目の前に立っていた60代後半くらいのおじいさんが『スマホは降りてからやってね』とドヤ顔。そこで、『いや、これは電卓ですよ』と私が反論すると、いきなり『電卓』を掴んで私のバッグに無理矢理押し込んだのです。そして、『スマホはダメって車内アナウンスでも言っているんだから!』と真顔で怒られた。スマホではなく正真正銘の電卓だったのに…」(33才・会社員)
前出の藤原さんは、最後のスマホのエピソードに対しては「自分が使えないものを他人が使っていると腹が立つものです。社会についていけないイライラが他人に向かうことも」と説明している。
※女性セブン2014年7月10日号