6月20日深夜、新宿の旧コマ劇場近くの路上には大学生10数人が横たわって微動だにしない異様な光景があった。倒れていた大半は女子大生で、ミニスカートやショートパンツから太ももが露わになっている様子を通行人が撮影してネット上に次々とアップし、「酒に薬物を混入されたレイプ未遂事件ではないか」「スーフリ事件(*注)の再来」と大騒ぎになった。
【*注】スーフリ事件/2003年に発覚した、早大のイベントサークル「スーパーフリー」のメンバーが女子大生に大量に酒を飲ませた上で強姦した事件。
現場には警察官や救急隊員も駆けつけ数人が救急車で搬送される騒ぎとなったが、「倒れていたのは明治大学のテニスサークルの学生。未成年者も含まれていたのは問題だが、薬物反応はなかった。あくまで急性アルコール中毒」(警視庁関係者)といい、明治大学の広報は、「過度な飲酒から起きた出来事。部員全員から聞き取り調査をした上で、当該サークルには厳正に対処する」とした。
とはいえ冒頭の店主の証言からもわかるように、「普通の飲み方」で同じ場所で一斉に昏倒したという異常事態を説明しきれるのか。
「店を出て歩いているうちにアルコール血中濃度が全員同時に意識を失うレベルに達した状況ですが、退店直前にタイミングを合わせて相当強い酒を飲みでもしない限り、こんな光景は生まれない」(医師・医療ジャーナリストの森田豊氏)
学生たちがコンパを開いていたのは騒動の起きた現場から数分のダーツやカラオケ設備のあるパーティスペース。
店側は「すべて明治大学の広報にお任せしてあるので、そちらに聞いてください」と口をつぐんだが、ドリンクメニューにはサワーやカクテル類などが並び、数分で昏倒するほどの度数の高い酒は見当たらない。
ただし、「例えば、スピリタスというアルコール度数96度の酒をカプセル状にした『スピリタスカプセル』を店内の酒に混ぜたりした可能性は状況的に考えられる」(前出の警視庁関係者)という。その場合でも診断としてはあくまで急性アルコール中毒になる。
当該のサークルは「学外との対抗戦にも参加していてテニスに関しては真面目なサークル」(明大OB)というから「スーフリ」とはだいぶ違うが、男子学生が悪ノリして女子学生に飲ませすぎたとしたら、やはり責任は重大だ。
※週刊ポスト2014年7月11日号