テレビ界では4月クールが終了し、7月から新しい連続ドラマが始まる。今クールも、木村拓哉の『HERO』(フジテレビ系)を始め、井ノ原快彦が『警視庁捜査一課9係』(テレビ朝日系)、松岡昌宏が『同窓生~人は、三度、恋をする~』(TBS系)に出演するなど、ジャニーズ勢が各局でドラマに顔を出す。
もともと、ジャニーズのタレントの歴史を振り返れば、歌って踊ることがメインだったが、いったい、いつから連続ドラマの主演を務めるようになったのか。古参の芸能記者が話す。
「“びんびんシリーズ”(フジテレビ系)の田原俊彦からです。1987年に『ラジオびんびん物語』で主演。1988年の『教師びんびん物語』は平均視聴率22.1%を記録する大ヒット。野村宏伸との軽快なコンビも大人気になり、『榎本!』『センパイ~』というやり取りをマネする中高生が続出しました。1989年の『教師びんびん物語II』も大ヒット。1990年には『日本一のカッ飛び男』と、4年連続でフジテレビの“月9”で主演しています。この成功で、ジャニーズ後輩への道を開きました」
1990年代、視聴者を虜にしたフジテレビの“月9”を軌道に乗せたのも、田原だった。
「そもそも、フジテレビの月曜夜9時のドラマ枠が“月9”と略されて呼ばれるようになった一つの要因に、田原の活躍が挙げられます。10年以上続いた、萩本欽一の『欽ドン!』シリーズが1987年3月限りで終了。その後、フジは月曜9時をドラマ枠に変更しました。
『愛し合っているかい!』『東京ラブストーリー』『101回目のプロポーズ』など、いわゆるトレンディードラマばかりが印象に残っているかもしれませんが、月9で初めて視聴率30%越えを果たしたのは、『教師びんびん物語II』です」
『教師びんびん物語』といえば、田原自身が主題歌を歌い、『抱きしめてTONIGHT』『ごめんよ涙』が大ヒットした。“主演ドラマで、主題歌を歌う”という、ジャニーズの王道スタイルを作ったのも、実は田原だった。
「テレビに限らず、何事も軌道に乗せるまでが大変です。逆に、形さえできてしまえば、その波に乗ることは容易い。そういう意味で、“月9”で初めて視聴率30%越えを果たした『教師びんびん物語II』で主演したことも、主演ドラマで主題歌をヒットさせたことも、その功績は大きい。今クールの“月9”は木村拓哉の『HERO』ですが、田原の活躍がなければ、生まれなかったといっても過言ではない。田原俊彦は、もっと評価されてもいい存在ではないでしょうか」