結婚しない男女が増えていると言われている昨今。たしかに、結婚してあれこれ苦労するぐらいなら独身のほうがいいという考え方もある。そもそも、人はなぜ結婚するのだろうか。九州大学で「婚学」の講座を開いている九州大学大学院助教の佐藤剛史さんはこう話す。
「国民が結婚せず、子供を産まなくなると社会が崩壊してしまうという一面があります」(以下、「」内佐藤さん)
現在、日本の人口は1億2710万人だが、昨年1年間だけで30万人減少。2060年には8600万人にまで減ると試算されている。
「その数値が現実になると、現在の社会保障も年金制度もなくなります。だから、国民が適切な時期に結婚して、子供を産み、社会を維持していく必要があるといえます」
また、最近は晩婚、非婚も増えている。
「結婚するのが当たり前、子供を産むのは当然という価値観が崩れてきたと思います。よくいえば社会の成熟。権利や自由が認められ、女性も大学を出て就職するのがごく普通という価値観が形成された。その影響が、晩婚や非婚という結果に結びつき、さらなる人口減を招いています」
もっとも、そうした社会構成に関する面だけでなく、結婚は“人間性の育成”という意味においてもやはり大事なものである、と佐藤さんは力説する。
「結婚は人を成長させます。自分の身勝手さやわがままさを痛感し、自分より大切な存在を知ることができる。結婚しない人生はもったいないと、学生に説いています」
※女性セブン2014年7月10日号