小林氏のいうとおり、法で個人を支配するのではなく、ガイドラインを作るなど食品のリスクと対処法をきちんと国民に情報公開し、その上で個人の自由を重んじることこそ成熟社会の基本ではないか。一般社団法人日本畜産副産物協会の野田富雄・専務理事も指摘する。
「そもそも、生で食べるか、焼いて食べるかということに国が口出しすること自体がおかしい。
牛レバー規制が豚レバ刺しを提供する店を増やしてしまったことからよくわかるように、法律で縛ることで、“じゃあ別の動物のレバーならいいのか”と誤ったメッセージを発信することになってしまう。いわゆるジビエと呼ばれる動物の中には、きちんと業者が管理して生産している牛や豚より危険な食べ物はたくさんありますからね。
私は調査会でいいました。“これ以上規制を強めると、いつか山羊のレバーを食べる人が出てきますよ”と」
厚労省は、レバ刺しだけでなく、年金カット、たばこ規制と庶民の生活を縛り付けることばかり考えている役所だ。彼らの「規制大好き病」のほうが、食中毒よりも国民にははるかに危険である。
※週刊ポスト2014年7月11日号