高須クリニックの高須克弥院長が、様々な出来事に自由な意見をぶつけるシリーズ企画「かっちゃんに訊け!!」。今回は、ネット上で話題になることが多いブラック企業についてお訊きしました。
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──近ごろ、ネット上などで話題になることが多いのが、ブラック企業問題です。サービス残業を強いられるとか、労働条件があまりにも過酷だとか、そういった企業がネット上で激しく批判されています。また、牛丼チェーンのすき家や、居酒屋チェーンのワタミグループでは、勤務がキツイということでアルバイトが集まらず、閉店に追い込まれる店舗もあります。
高須:すき家は、消費税が8%になったのに値下げしたんでしょ?
──そうですね。吉野家は値上げしたんですが。
高須:そりゃあアルバイトに負担もかかるよ。値段を下げれば客が集まるって思いがちだけど、それは違うんだよね。薄利多売が優良なビジネスモデルだと信じ込んでいるのかな? それはダイエーが失敗しているわけで、間違っているってわかるはずなんだけどなあ。
薄利多売で利益を上げるというのは、それだけ労働者への負担を増やしていることだからね。人件費が安い発展途上国だったらそれでいいかもしれないけど、今の日本では到底成立しないんだよ。そのうえ少子化で労働力も足りないんだから、回るわけがない。薄利多売では成功しないよ。
──バイトが集まらないのも当然だと。
高須:そう。安売りしても長くは続かない。高須クリニックは開業当時から実は、全然値上げしてないんだよ。そして、新しい技術を入れるときも決して安売りをしないし、価格も変えない。そうやって、同じクオリティーのサービスを同じ価格で提供し続けることで、いつしかブランドになる。薄利多売の精神では絶対に無理。
──労働者を酷使するブラック企業的なやり方は、本来うまくいくはずがないということですね。
高須:そうそう。ブラック企業は結局損するんだよ。まあでも、昔の高須病院なんて典型的なブラック企業だったけどね(笑い)。今はしっかり休むようになったけど、昔のお医者さんは休む暇なんかなかったし、患者さんのために不眠不休で働いていたから、尊敬されていたわけだしね。
──たしかに、市民にとっては、いつでもお医者さんが診てくれるという安心感はすごく重要ですよね。
高須:今は深夜の往診なんかあまりしなくなっちゃったからねえ。まだ大丈夫だけど、病院が労働条件ばっかり気にし始めたら、医療が崩壊してしまうかもしれない。本当ならブラックにならない程度に、各病院が人材を確保できて、報酬もそれなりに出ていればいいんだけど、現実問題としてはちょっと難しいかな。医療の場合は、多少ブラックなくらいでないと、良心的とはいえないんだろうな。
──社会貢献ではないですが、お医者さんには多少頑張ってもらうしかないというか…。
高須:すき家みたいに、お医者さんがいないから開業できません、なんてなったら大問題だからね。でも、すき家は時給もけっこう高くしているんでしょ? それなのにバイトが集まらないの?
──深夜帯のバイトがいないらしいんですが、すき家は深夜のシフトが1人になることが多いんですよ。で、それが知れ渡っていて「バイト1人なら襲いやすい」ってことで強盗被害も増えた。いくら時給が高くても、強盗に遭うのはイヤだっていう人もいるみたいなんですよ。
高須:なるほどねえ。じゃあさあ、その強盗の人たちをアルバイトで雇えばいいんじゃないの? 犯罪者になるより絶対そっちのほうがいいよ(笑い)。
──たしかに犯罪者になるくらいなら深夜バイトをしたほうがいいに決まってますが、さすがに強盗をバイトとして雇うというのは無茶な話ですよ、院長!
高須:そう? 昔の中国なんかでは、盗賊を兵士として雇って敵国に攻めたりしていたけどね。そういう問題じゃないか(笑い)。
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ブラック企業と呼ばれるような、労働者を酷使して薄利多売を実践するようなビジネスモデルは、間違っていると主張する高須院長。労働者を酷使すれば、当然サービスも悪くなっていくわけで、消費者としてもまったくもって歓迎できない事態になるはず。高須院長の言う通り、企業としては、安価のサービスではなく、質の高いサービスを提供し続ける努力こそが重要なのかもしれない。
【プロフィール】
高須克弥(たかすかつや):1945年愛知県生まれ。医学博士。昭和大学医学部卒業、同大学院医学研究科博士課程修了。大学院在学中から海外へ(イタリアやドイツ)研修に行き、最新の美容外科技術を学ぶ。脂肪吸引手術をはじめ、世界の最新美容外科技術を日本に数多く紹介。
昭和大学医学部形成外科学客員教授。医療法人社団福祉会高須病院理事長。高須クリニック院長。人脈は芸能界、財界、政界と多岐にわたり幅広い。金色有功章、紺綬褒章を受章。著書に『バカにつける薬 ドクター高須の抱腹絶倒・健康術』(新潮OH!文庫)、『私、美人化計画』(祥伝社)、『シミ・しわ・たるみを自分で直す本』(KKベストセラーズ)、『ブスの壁』(新潮社、西原理恵子との共著)、『その健康法では「早死に」する!』(扶桑社)など。最新刊は『筋と義理を通せば人生はうまくいく』(宝島社)。