「セーラー服を着たおじさんが街を平然と歩いている!」
そんな目撃情報がネットで多数報告されている。さぞ不気味に思われていることだろうと思いきや、「会うと幸せになれる」と女子高生からは好意的に受け入れられているらしい。そこで本誌も、「新宿や渋谷でよく見かける」という情報を頼りに、おじさんを探してみた。各所を回ること2日目。あっ、いたっ! JR原宿駅で女子高生に囲まれているおじさんを発見。早速直撃し、取材を試みた。
「女性セブンと申しますが…」。記者がおずおずと問いかけると、「あぁ、おつかれさまです」とソフトで落ち着いた低い声。アレッ? しごく丁寧な対応だ。セーラー服にハイソックス、真っ白で長く伸ばしたひげを三つ編みにするという、本当ならギョッとする風貌のはずなのに、なぜか違和感のない穏やかな雰囲気に拍子抜けする記者。
「そうなんです、“会うと意外と普通ですね”って言われます(笑い)」
笑顔で語り始めた「セーラー服おじさん」こと小林秀章さん(51才)は、見かけとは裏腹に、かなり紳士的。それもそのはず、普段は大手企業に勤務するエンジニアだったのだ。
「平日はサラリーマン風の格好ですが、土日はいつもセーラー服です。着替えには、ひげの三つ編みまで含めて40分くらいかかりますね。紺色の“見せパン”もはいてますよ。女子高生はみんなはいてると、本人たちに聞いたので」(小林さん・以下同)
子供の頃からかわいいもの好きだったという小林さんだが、初めてセーラー服を着て外へ出たのは、あるラーメン店の企画がきっかけだという。
「3年前になりますけど、30才以上の人がセーラー服を着てきたら無料、というのがあって。それで初めてこの格好で電車に乗りました。最初は、“通報されたらどうしよう”とかドキドキしてましたが、みんな見て見ぬふり。それで、“大丈夫じゃん”と」
それからは、スーパーマーケットや飲食店、裁判の傍聴、結婚式の二次会など、徐々に行動範囲を広げていった。
「海外旅行も行きましたよ。フランスでは警察官に声をかけられて、捕まるのかと思ったら、“写真撮らせて”と」
日本でも声をかけられれば、快く撮影に応じる。
「たくさんの人に声をかけられて、原宿から渋谷まで2時間かかったこともあるんですよ」
セーラー服おじさんとして人気に火がつくと、当然会社にばれてしまい、総務部から呼び出しがかかった。
「会社からは“その格好で出社するな”、“会社の名前は出すな”と言われただけでした。誰にも迷惑はかけてないので、当然だと思いますが」
その人気は本物で、今月中旬には大学受験予備校の早稲田塾で、『Rich&Happy人生のススメ』と題して特別公開授業を行うそうだ。
「日本人はまじめでよく働くけど、そのわりには悩みが多いでしょ。しがらみを捨ててはじけたら、もっとハッピーになれると思うんですよ。そんなことを学生に伝えられたらいいかな」
バツイチで現在はひとり暮らしの小林さんだが、人生を存分に楽しむセーラー服おじさんに「会うと幸せになれる」はやっぱり本当かも!?
※女性セブン2014年7月17日号