9年前から東京・千代田区のクリニックに管理栄養士として勤務し、実に900人近い患者の食事指導をしてきた森由香子さん(51才)。その森さんが『病気にならない正しい食習慣』(青春出版社・1000円)を上梓した。最近は健康的な食生活を心がける人も増えてきたが、気になるのは「サプリメントを大量にのむ」人と、逆に「粗食がいいと信じている」人が目立つことだ。
「体に必要な栄養素は食事からとるべきです。サプリメントは医薬品ではないので、それほどの効果は期待できないし、毎日大量にのみ続けて肝臓を悪くする人も多いんです。私が知る限り、サプリメントをやめて調子が悪くなった人はいません」(森さん・以下「」内同)
一方の粗食では、「肉を食べない」「ごはんなど糖質を食べない」といった極端な食生活の人が多いという。
脂肪を恐れるあまり、動物性たんぱく質を一切とらないのは問題だ。体に必要な必須アミノ酸を充分とることができないし、ビタミンB1、B2、カルシウム、鉄なども不足しがちになる。
「糖質制限食はもともと糖尿病の人のために考えられた特殊な食事法。まだ2年分くらいしかデータがないので、長く続けても安全なのかわからない部分があります。摂取カロリーのうち50~60%は炭水化物(糖質)でとるべき、と私は考えます」
このように、現代人がやりがちな“危険な食事”を防ぎ、正しく健康的な食生活をするためのアドバイスが本書には詰まっている。
いくら体にいいといわれる果物も、食べすぎれば糖分やカロリー過多になってしまう。無害なミネラルウオーターですら、大量に飲み続けると腎臓を悪くすることがある。そもそも「絶対的に体にいい食品なんて存在しない」と森さんは言い切る。
「人によって、いい食品と悪い食品は変わってきます。レバーは貧血の人には鉄の補給になるからいいけど、尿酸値の高い人にはよくありません。大切なのはバランス。いろいろな食品を組み合わせることで、初めて“体にいい”といえるようになると思うんです」
肉を大量に食べるときは、大豆製品を一緒に食べることでコレステロールの吸収を防ぐ。豚肉を食べるときは玉ねぎも食べると、体内でアリチアミンという成分ができて疲労回復効果が高まる――本書で示される食べ合わせの例は具体的でわかりやすい。
※女性セブン2014年7月17日号