近々行なわれることが確実視される内閣改造。安倍晋三首相は、「指導的立場の女性の割合を2020年までに3割に引き上げる」という目標を繰り返してきた。「ならば閣僚も3割は女性に」との要求も出ているが、18人の大臣枠の3割となれば女性閣僚は5~6人。政治評論家の有馬晴海氏は、現実味はあると指摘する。
「女性が活躍できる社会の実現に動いていることをアピールする格好のチャンス。そのためには、これまでで最も多い第一次小泉内閣並みに女性閣僚を5人は入閣させなければ安倍首相の顔が立ちません」
現在の女性閣僚は2人だが、一挙に「5枠」に増やす可能性まであるというのだ。しかも、森雅子・消費者担当相と稲田朋美・行革担当相の2人は交代が有力。
「森さんは昨秋国会での特定秘密保護法を巡って答弁が二転三転するなど能力不足を露呈した。稲田さんは安倍氏の推薦人を務めた論功行賞での入閣だったが、総理と下村博文・文科相、新藤義孝・総務相らとの『タカ派お友達食事会』には呼ばれるものの実績は特になし。留任では党内の入閣待望組の不満が抑えきれない」(自民党ベテラン議員)
自民党女性議員は衆参40人。現閣僚の2人が交代し、1回生議員の17人の就任は早すぎるとなると残り21人(未入閣は13人)で「5枠」を争うことになる。
任命する安倍首相の意中の人は誰か。まず名前が挙がるのが小渕優子・衆院文部科学委員長(当選5回)だが、小渕氏自身は「息子の保育園送迎を続けたいという希望が強く、『SP付きの大臣車で送迎するのは避けたい』と入閣にためらいがある」(キー局自民党番)といい、ラブコールを受けるかは不明。逆に入閣に意欲満々なのが安倍氏の「お友達」の高市早苗・政調会長(当選6回)だ。
「高市会長は政調の会議で異論が出ても『これは官邸の意向ですから』と何でも押し切ってしまう。他の政調幹部はすっかりやる気をなくしている」(政調スタッフ)といわれ、それを批判されても、「政高党低といわれても結構だ」と言い放つなど「総理への忠誠」のアピールに余念がない。
ちなみに高市氏の夫の山本拓・代議士は当選6回ながら閣僚経験なし。それでも「夫より自分の2度目の入閣で頭がいっぱいの様子」(同前)と“婦高夫低”に邁進しているようだ。
※週刊ポスト2014年7月18日号