発足から500日を迎え、安倍晋三政権が近々の内閣改造と党役員人事を行なうことが確実視されている。そこで鍵になるのが菅義偉(すがよしひで)・官房長官の処遇だが、官房長官留任という新聞辞令とは裏腹に、永田町では年内解散を視野に幹事長就任との見方も出ている。
そうした党内や安倍周辺の空気を一番強く感じているのは、あえて6月下旬に故郷・秋田に“お国入り”した菅氏自身ではないか。
「大臣のお国入りは退任前のセレモニー」とは永田町の常識でもある。
自民党が圧勝した一昨年12月の総選挙から2年も経っていない。普通に考えれば、安倍首相がせっかく得た衆院294議席を捨て総選挙を打つとは考えにくい。
ところが、官邸と党執行部はここにきて選挙準備を加速させている。河村建夫・選対委員長は5月29日から直近の選挙で当選した党所属の新人議員(衆参156人)を対象に選挙プランナーを講師に招いて「選挙必勝塾」をスタートさせた。すでに2回開催している。
「必勝塾は1回生全員出席、代理出席不可という厳しいルール。石破幹事長は『握手をした人だけが票を入れてくれると思え』、河村委員長からは『自分がしてあげたことは忘れても、後援者からしてもらったことは忘れるな』といわれた。選挙プランナーには『男性の有権者と握手するときは、少し手を引っぱるくらいのほうが熱意が伝わる』と具体的な握手の仕方まで教わっている」(自民1回生議員)
塾では具体的な選挙日程についての説明はまだないというが、「同僚議員の多くはこの夏に地元で後援会の大規模集会やパーティを開く予定を立てている」(同前)と、執行部が新人たちにいつでも選挙に向けて走り出せる用意をさせていることがわかる。
※週刊ポスト2014年7月18日号