2014年5月に、TBSを定年退職した元アナウンサーの吉川美代子さん(60才)。局アナとしてキャリアを貫いてきた吉川さんだが、その裏には知られざる苦悩もあったという。吉川さんが裏話を明かす。
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ずっと報道アナ班でキャリアを積み上げてきて、40才になったとき。10才ぐらい年上の男性アナウンサーに、「吉川さんも40になったんだよね。正直、40超えた女性アナウンサーの顔ってテレビで見たくないよね。あなた、まだ続けるの?」って言われたんです。
あまりにも失礼な言い方で、入社して20年近く経っても男尊女卑的な環境の変わらなさに驚きました。怒りの感情も湧きましたし…悔しかった。でも、そうした気持ちに流されず、怒りをやり過ごすことにしました。幸い私には、仕事とはまったく切り離された、私だけの世界があったから。
それは、ライフワークともいえるラッコの生態研究です。野生生物の研究者たちとの交流は、会社の愚痴だの事情だのとは一切関係のない世界ですので、純粋に研究に没頭できました。
アラスカなどラッコの生息地を訪ねて、何度もアメリカの研究者たちと調査を行いました。自分の興味を仕事の企画にして会社の経費で行く人もいますが、私はそういうのが嫌い。全部自腹です。ラッコの研究はプライベートではあっても遊び半分ではありません。私の研究は海洋ほ乳類の世界ではそれなりに評価もされているんです。思うに、それは本業であるアナウンサーの仕事をおろそかにせずに、やるべきことをやってきたからこそ、ライフワークにも全力で取り組めたのだと思います。
※女性セブン2014年7月17日号