「歴史認識はその国が進むべき未来を示す羅針盤だ。過去の過ちを正視せずに新しい時代を切り開くことはできない。過去の過ちを認めない指導者も新しい未来を切り開けない」
今年3月、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は「3.1独立運動」の記念式典でこう述べた。
この言葉は当然、日本に向けて語られたものだが、皮肉なことに、これほど韓国を正確に言い当てた表現はほかにない。韓国が正視してこなかった過去の過ち、それこそが韓国軍による「ベトナム大虐殺」である。
いまから50年前の1964年から1973年にかけて、韓国はのべ32万人をベトナム戦争に派兵した。朴槿恵の父・朴正煕(パク・チョンヒ)大統領(当時)は、アメリカからの信任や戦争特需を得るため、参戦に前のめりになった。
韓国は、派兵の見返りとしてアメリカから多額の援助を得た。後に「漢江の奇跡」と呼ばれる韓国の経済発展は、このベトナム戦争から始まったのだ。
一方、その陰で韓国は、ベトナムにおける「負の歴史」を封印した。1万人以上とも言われるベトナム民間人の大量虐殺事件を起こしながら、そのことは韓国国内で一切の言及が許されないタブーとされ、禁忌に触れたメディアは糾弾の対象とされた。
それどころか韓国は、韓国兵によるレイプなどでベトナム人との間に生まれた子供「ライダイハン」の存在を黙殺しながら、いまだに日本軍による慰安婦強制連行のデマを喧伝し続けている。
なぜ韓国は、ここまでして歴史を歪めようとするのか。
韓国はひたすら「被害者」だと訴え続けることで、日韓国交正常化の際には5億ドルもの金を得た。そしていまなお被害者だと主張することで、様々な利益を得ている。それは金銭面だけでない。たとえば、韓国で噴き上がる政府への不満。その民衆の不満を「加害者」である日本に誘導して、ガス抜きを図る。被害者であることが、歴史的に正しいか否かは関係ない。韓国が存立するためには、被害者になりすまし続けなければならないのだ。
韓国がベトナム大虐殺を封印しなければならない理由もそこにある。もしこの実態が白日のもとに晒されれば、韓国が〝なりすまし被害者〟であるどころか、実際には戦争犯罪を行なった“加害者”であることが世界中にバレてしまうからだ。
※SAPIO2014年8月号