NHKの料理番組『きょうの料理』などでもお馴染みの“ばぁば”こと日本料理研究家・鈴木登紀子さん(90才)が、女性セブンで連載していたエッセイ「ばぁばの遺言」に大幅加筆修正した『ばぁばの料理 最終講義』(小学館/本体価格1400円)を出版する。そんな“ばぁば”が、同郷・青森県の霊能者・木村藤子さんと特別対談を行った。
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鈴木:まんず、まんず、よお~ぐおでゃってくんしゃりゃんしたごど! まあ、まあ、ようこそいらっしゃいました。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
木村:こちらこそ、よろしくお願いいたします。このたびは『「ばぁばの料理」最終講義』のご出版、おめでとうございます。私、この本のもとになった女性セブンの連載エッセイ「ばぁばの遺言」(2012年3月~2013年11月)が大好きで、毎週切り抜いて保存していたんですよ。
鈴木:まあ、それはうれしいこと。ありがとうございます。
木村:本ではお料理とレシピがカラーページになっていて、とても素晴らしいと思いました。今この時を生きる日本人が知らない日本の食文化、あるいは忘れてしまった美しい作法に、改めて気づかせてくれる、とても貴重な本です。
鈴木:木村さんにそう言っていただけると、心強いですわね。みなさまにも買っていただけるかしら。
木村:ええ、そう思いますよ。
鈴木:(声をひそめて)もしかして、何か視えていらっしゃる?
木村:いえ、いえ、視えておりません(笑い)。よい本ですから、売れますよ、きっと。
鈴木:私はもう90年生きておりますし、それはやはり年の功といいますか、知っていることも多くなりますもの。つまりは、みなさまがお若いということなのですよ。
木村:そうですね…と言っては失礼ですが(笑い)、連載時から「なるほど」と膝を打つことが何度もありました。例えば、鈴木先生はおだしのとりかたひとつとっても、「おだしは究極のインスタント料理」だと。
鈴木:だって、おだしの材料となる昆布や鰹節は、長い時間と手間をかけてつくられる乾物でしょう? おだしはこれらを利用して短時間でとるもの、いわば“インスタント料理の元祖”ではないかしら。
木村:まさにその通りですね。
鈴木:何も料亭みたいなおだしをとりなさいというのではないのですよ。ご家庭のおみそ汁や煮ものには、削り節だけで充分。煮立ったお湯に、削り節をむんずとつかんでパッと放って、中火で静かに煮立てるだけです。ただし、削り節はケチらないことよ。手間としては顆粒や液体のおだしと大して変わらないのです。でも、手加減次第で、そのご家庭だけにしかないお味が生まれます。それが“おふくろの味”になるのですから。
木村:そういうことですよね。私が娘に伝えたいことも、まさにそこなんです。お嫁に行く時は、この本を嫁入り道具に忍ばせてやらねば…と思っています。
※女性セブン2014年7月24日号