6月29日、東京都心で発生した猛烈な豪雨は買い物客などで賑わう日曜夕方の風景を一変させた。降り始めてものの数分で運転を見合わせる鉄道が出るなど交通機関は麻痺状態に。
1時間もしないうちに雨はあがったのだからまさに「ゲリラ豪雨」だが、降水量は東京都練馬区で1時間に45ミリ、埼玉県朝霞市では110ミリを観測した。通常の夕立ちは10~20ミリ程度だから、その激しさを数字が物語っている。
もともと水に弱い日本の都市部でのゲリラ豪雨はこの夏、さらに激しさを増すとみられている。防災科学技術研究所の三隅良平研究員が日本列島周辺の気象状況を解説する。
「今年の特徴は偏西風が南に蛇行して流れていることです。日本列島の南側まで偏西風が南下するので、東日本上空には氷点下10度程度の寒気がたびたび入り込むことになります。
これが夏場の都市部のヒートアイランド現象と合わさって、上空と地上の寒暖差が大きくなると、巨大な積乱雲が発生する。ゲリラ豪雨が繰り返し起きる状態が生まれるのです」
首都圏で観測された1時間に100ミリを超える豪雨がこの後も日本中の大都市を襲う可能性があるというのだ。
多くの人が持っているであろう、「日本の気候がおかしくなっている」という感覚は正しい。
危機管理ジャーナリストの渡辺実氏によれば、全国に1300地点ある観測点のデータで、1時間に50ミリ以上の豪雨は、1985年までの10年間では年平均174回だったものが、直近10年間では236回にまで増えている。
※週刊ポスト2014年7月18日号