今や日本人にとって夏のソウルフードとなりつつある「冷やし中華」の知られざる逸話を紹介しよう。昭和50年、冷やし中華が冬に食べられないことに憤慨したピアニストの山下洋輔が、その“差別”に立ち向かうべく結成した『全国冷し中華愛好会』。略して、全冷中。
赤塚不二夫や坂田明、黒鉄ヒロシ、まだ世に出ていないタモリ他、錚々たるメンバーが名を連ねた。「冷し中華」についてナンセンスな議論を戦わせ、持論を会報や雑誌で展開。一般人を含め会員は1000名にも上り、「第1回冷し中華祭り」で盛り上がりは頂点を迎えたが、有名になるあまり問い合わせが殺到することに。
本業に支障をきたし始めたことを理由に、昭和54年に解散式『全冷中冠婚葬祭の葬儀編』で活動の幕を閉じた。
※週刊ポスト2014年7月18日号