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「至上命題」「論理」 誤用が多い日本語を小谷野敦氏が解説

 誤用や重言、外来語など、半可通(いいかげんな知識しかないのに通ぶること、またはその人)がおかしやすい日本語の間違いの例を作家で比較文学者の小谷野敦氏が解説する。

 【至上命題】
「命題」とは「私は日本人である」など事実をありのままに述べる平叙文で真か偽かを言えるもののこと。これを「課題」「問題」の高級表現だと思って使う人が多い。新聞記事にさえ誤用が見られる。

 その発展型が「至上命題」だ。「達成すべき課題」を表わすのに「日本経済の復活は至上命題だ」などと誤用する。すべてに優先して行なう事柄を「至上命令」と言うが、この「命令」を誰かから命じられることと誤解した結果、「至上命題」になったのだろう。
 
【論理】
 誤用のされ方が「命題」と似ている。本多勝一・著『殺される側の論理』の「論理」は言い分とか立場の意味だろう。鳩山由紀夫が民主党を創設する際に武村正義を入れず「排除の論理」などと言われたが意味不明だ。

 本来は「論理」は論理学の略として使われたり、三段論法というように思考や論証の法則や形式を表わす言葉で、「~の論理」は論理ではない。「それは金持ちの論理だ」と使いたくなるかもしれないが、それは単に「勝手な言い分」のこと。(文中敬称略・談)

※SAPIO2014年8月号

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