「ドラマの良し悪しは脚本家でわかります。実力のある脚本家のドラマはやっぱり安定感がありますから。どれを見ようか迷った時には、脚本家それぞれの得意なジャンルを参考にして選ぶと間違いないかもしれません」
毎クールドラマ全作品を視聴するというドラマ評論家の木村隆志さんはそう提案する。
女性の幸せを書くのがうまい人や原作ものを脚色しながら映像化するのが得意な人、不倫ものなどドロドロ系がうまい人…。今年の夏ドラマの脚本家たちは、大石静さん、尾崎将也さん、井上由美子さんなどかけ持ちは当たり前の売れっ子が勢ぞろい。
脚本界の女王・大石静さんは、若手俳優の抜擢に定評があり、そこは要チェック。大石さんがかけもちするのはこの2作。
『家族狩り』(TBS系)毎週金曜22:00~
出演者:松雪泰子、伊藤淳史ほか
家族とは何か、生きるとはどういうことか、という根源的な問いに真正面から挑んだ不朽の同名ミステリー小説を映像化。
『ゼロの真実~監察医・松本真央~』(テレビ朝日系)7月17日(木)21:00~
出演:武井咲、佐々木蔵之介ほか
監察医務院を舞台に孤高の天才監察医と法医学の現実を鋭く描く医療ミステリー。
「どちらも放送翌日に、ママ友とワイワイ盛り上がれると思いますよ」(木村さん)
サラリーマンから脚本家へ華麗に転身した尾崎さんは、大学卒業後に広告制作会社へ就職後、1992年『屋根の上の花火』で第5回フジテレビヤングシナリオ大賞を受賞。以後、人気脚本家としての地位を確立する。代表作は2003年『特命係長・只野仁』(テレビ朝日系)、2012年『梅ちゃん先生』(NHK)など多数。今期は初の時代劇ものをはじめ3本をかけ持ちする。
『吉原裏同心』(NHK)毎週木曜20:00~
出演:小出恵介、貫地谷しほりほか
華やかな吉原を舞台に、自警組織の一員(裏同心)として事件を解決する夫婦を描いた佐伯泰英の同名小説を映像化。脚本の尾崎将也にとっても時代劇ものは初挑戦。
『匿名探偵』(テレビ朝日系)毎週金曜23:15~
出演:高橋克典、片瀬那奈ほか
2012年深夜ドラマでありながら最高視聴率12%を記録。氏名不詳、年齢不詳、過去不詳の『匿名探偵』が尾崎将也さんの得意とするヒューマンコメディータッチの脚本でパワーアップして復活。
ジャンルを問わないマルチな才能を見せるのが井上さん。テレビ東京勤務を経て1991年『過ぎし日の殺人』(フジテレビ系)で脚本家デビュー。以降、『ギフト』(フジテレビ系)をはじめ、木村拓哉とのタッグでヒット作を生む。社会派もの、サスペンスものなど多数。今期は10人の脚本家の競作となる『おやじの背中』のほか、2本をかけ持ち。
『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(フジテレビ系)7月17日(木)22:00スタート
出演:上戸彩、吉瀬美智子ほか
夫を会社に送り出した後、平日の昼間に別の男性と恋に落ちる主婦を描いた不倫ドラマ。
「実績充分の井上由美子脚本なら、単なる過激な不倫ドラマではなく、心の機微をていねいに描いた良作になるはず」(木村さん)
『おやじの背中』(TBS系)7月13日(日)21:00スタート
出演:田村正和、松たか子ほか
かつて家族みんなで楽しめたホームドラマ、それもオリジナルドラマの復活を志す意欲作。
「日本が誇る10人の脚本家たちが、腕を競うように1話完結ドラマを書き下ろす。最注目は旬の坂元裕二さんと橋部敦子さん、井上由美子さん」(木村さん)
※女性セブン2014年7月10日号