視聴率不振に喘ぐフジテレビが頼ったのは、またもこの男だった。7月14日スタートの月9は木村拓哉(41)の『HERO』(第2シリーズ)だ。2001年時の第1シリーズ放送時には、全話が視聴率30%以上を記録した超人気ドラマ。2007年の映画版も興行収入80億円の大ヒットとなった。
開局55周年記念ドラマと銘打つ気合いの入れようだが、局内からは「『踊る大捜査線』の亀山千広社長だけに、貧すれば鈍すのリバイバル一辺倒」(フジ社員)との陰口もチラホラ。とはいえヒットの狙えるコンテンツであることは間違いない。
「この番組には、視聴率以外にもうひとつ大きなミッションがある」と話すのは別のフジテレビ社員だ。
「木村さん演じる検事・久利生(くりゅう)は大の通販好きという設定で、毎回必ずこだわりの通販商品が紹介されるんです。
2001年の第1シリーズでは、寝転んで足を乗せ、体を左右に揺らす『マーメイドスリム』(架空の商品名)や、腹筋トレーニング器などが登場し、実際の通販番組で類似商品が大ヒットした。
今度も同様の仕掛けを用意しており、第2シリーズの第1話では、円盤状の台に乗って左右に腰を回転させるエクササイズマシンが登場する。これはショップジャパンなどで売っている『アブサークルプロX』そっくり。
第2話以降も、実在する通販商品とほぼ同じものが毎回登場するという。いまやウチをはじめ民放は通販業者なしでは成り立たない。各業者に相当なアピールになるはずです」
フジといえば昨年度は民放5局で唯一の大幅減益。そんな中、フジサンケイグループの通販事業を担う「ディノス・セシール」はグループ総売上の15%以上を稼ぎ出す収益の柱となっている。大ヒットの続編に通販連動とは安直な感は否めないが、背に腹は代えられないのか。
※週刊ポスト2014年7月25日・8月1日号