吉高由里子主演の連続テレビ小説『花子とアン』(NHK総合、月~土、午前8時~8時15分ほか)のブームがますます過熱している。
7月5日には放送開始以来、最高視聴率となる25.9%を記録。週間視聴率は放送開始から14週連続で21%を超えている。
明治、大正、昭和の激動の時代を描いた物語は、はや後半戦に突入。『花子とアン』を欠かさず見ている識者に、気になるストーリーの行方や注目ポイントはどこにあるのか。上智大学教授(メディア論)の碓井広義氏は意外な人物に注目している。
「明治の無骨な男・伝助は横暴な大富豪ですが、最近では蓮子に彼なりの愛情を表現してファンの間で好感度がアップしています。
駆け落ちで絶縁状を突きつけられる伝助は体面を傷つけられ、怒り狂うと思いますが、蓮子の幸福を願う気持ちもどこかで持ち始めるのではないでしょうか。伝助が蓮子との関係をどう終わらせるのかが気になりますね」
『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版刊)の著者で、ライターの田幸和歌子氏も同じく伝助に目を向ける。
「伝助は蓮子に初めて会った時から“この世のもんとは思えんたい”と一目惚れしています。大富豪ですが、都会の令嬢である彼女にバカにされまいと、お金でしかうまく愛情を表現できない切なさが女性には健気に映るんです。
一方、蓮子も仲間さんのオーラを感じさせる演技で人気が高い。“蓮子人気”を損なわないために、あまり手酷く伝助を捨てるというような演出にはならないでしょう。どこかで伝助なりの愛にも気づく場面が用意されるのではないでしょうか」
伝助役の吉田鋼太郎も『花子とアン』公式ガイドブックのインタビューで、「伝助は蓮子を相当に愛していたような気がしています。そんな彼の思いをどう演じていくかが課題です」と語っている。
※週刊ポスト2014年7月25日・8月1日号