若者言葉などでは、「日本語の乱れ」が指摘されるが、どっこい、高名な政治家であっても日本語は乱れている。ベストセラー『頭の悪い日本語』(新潮新書)の著者、小谷野敦氏が“半可通”インテリの変な日本語を指摘する。
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安倍政権の閣僚で目立つのは稲田朋美・行政改革担当相のブログだ。文章の敬語がおかしい。「ご地元」など毎回のように変な敬語を使っている。「多くの方が熱心に耳を傾けて頂き」というのもあるが、この「頂き」は「くださり」の間違いだ。「いただき」を使えばいいというものではない。橋本龍太郎が総理になった1996年頃から政治家の敬語がおかしくなった。
稲田のブログには「自民党愛知県連にお招きいただき」という表現もある。しかし自民党は対国民においては身内なので、敬語は控えめにすべきで、これは「愛知県連の招きで」が相応しい。身内に敬語を使うのはいかがなものか。いかがなものかという言葉自体が政治家みたいだが(笑)、彼らの敬語の間違いは自民党内で勉強会でもしない限り、直らないだろう。(文中敬称略・談)
※SAPIO2014年8月号