夏の甲子園大会に出るための大きな壁は地方予選である。そして、高校野球の大きな魅力といえば、弱小校による下克上や、強豪校のまさかの敗戦などの「大番狂わせ」。東京都で起きた番狂わせを紹介しよう。
私立が圧倒的な強さを誇る東京で、番狂わせの主役となるのは都立校だ。都立校が初めて甲子園出場を決めたのは1980年だった。屈指の進学校として知られる国立が、堀越高などを破って西東京大会決勝に進出。スタンドは都立校の悲願達成を見届けたい観客で溢れ、その声援を味方につけた国立は駒大高に2-0で完封勝ちした。
野球部員は秀才揃いという点でも注目された。エース・市川武史と、捕手・川幡卓也はともに東大へ進学。市川は六大学野球で7勝を挙げ、川幡は後に東大の助監督を務めた。
東東京では1999年に城東が初優勝。準決勝の早稲田実業戦では激しい打撃戦を展開し、8-7の“ルーズヴェルト・ゲーム”で振り切った。奇しくも決勝の相手は、1980年に西東京で国立に敗れた駒大高だった。東西の参加校数是正に伴い、1996年から東東京に移動していたという偶然が絡んでいた。
※週刊ポスト2014年7月25日・8月1日号