高校野球の大きな魅力といえば、弱小校による下克上や、強豪校のまさかの敗戦などの「大番狂わせ」。秋田県で起きた番狂わせを紹介しよう。
2003年は、優勝候補である秋田経法大付(現明桜)の「和製ランディ・ジョンソン」こと木村雄太が主役と目されていた。190cmの長身から振りおろす大型左腕は当時からプロも注目。後に社会人を経て千葉ロッテから1位指名を受ける逸材だった。
しかし準々決勝で波乱が起こった。相手は平成。甲子園出場経験のない公立校で、前年、前々年と2年連続で初戦敗退している。
経法大付の小窪敬一監督は、3回戦に投板していたエース・木村を温存。しかしこれが裏目に出る。先発の1年生投手が立ち上がりに1点を失うと、すぐに2番手を投入するものの連打を浴びて初回に一挙3失点。2人が1回持たずに降板してしまう。
緊急登板となった木村は10奪三振と意地を見せるが、3-6でゲームセット。木村は茫然と敗戦を味わった。平成は次の準決勝で力尽きるが、超高校級投手を倒しての初のベスト4進出は同年大会最大のハイライトだった。
※週刊ポスト2014年7月25日・8月1日号