兵庫県議を辞職した野々村竜太郎氏の不自然な出費で一躍注目を集めたのが「政務活動費」だ。他の県議にも切手代などで疑惑が取りざたされ始めたが、病巣は全国に広がっている。
7月上旬には佐賀県の複数の県議が流行本を政務活動の“参考文献”として購入していたことが判明。ベストセラー小説の村上春樹著『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』や百田尚樹著『海賊と呼ばれた男』上下巻などを購入していた。さらに、『7日間で突然頭がよくなる本』という自己啓発本を買っていた県議もいた。「政治と関係ないことに税金を使ってはいけない」と理解できるくらいには頭がよくなっただろうか。
4月には神戸市議が自宅兼事務所の賃料の一部を政務活動費で払っていたことが明らかになった。そもそも自宅賃料を負担することは認められていないので、このケースは明らかな不正支出。市議は約2年半にわたって支出した約44万円を返還した。
さらに3月、青森市議が高級外車「BMW」のリース代月額4万3890円の半額を政務活動費として計上していたことが朝日新聞の調査で判明。5年ほど乗っていたという。同紙の取材にこの市議は「安全性を第一に考えた」と答えている。
別の青森市議は自宅兼事務所の警備費用を政務活動費で落としていた。さすがに政策の調査研究のためとはいえないだろう。
静岡県議のケースはさらに悪質だ。一昨年、民主党系会派の県議2人が民主党国会議員のパーティー参加費を政務活動費で支払っていた。静岡県民の税金が知らないうちに国会議員へ上納されていたのである。
●取材協力/若林亜紀(ジャーナリスト)
※週刊ポスト2014年7月25日・8月1日号