中国では昨年来、新疆ウイグル自治区などでテロ事件が多発していることから、習近平指導部は今後3年間にわたって、武装警察部隊や警察部隊を合わせて20万人増強することが決まっていたことが分かった。香港誌「争鳴」が報じた。
中国政府は5月下旬、今後1年間は中国全土で超法規的な措置も辞さない「対テロ戦争」を展開すると宣言しており、北京市など30の都市を「反テロ重点地区」に指定、毎日それぞれの都市で6000人から2万人の部隊を出動させるため、治安部隊の増強に乗り出さざるを得なくなったためだ。
武警などの20万人増強が決まったのは5月初旬に開かれた国家安全委員会で、最高責任者の習近平国家主席が打ち出した。具体的には今年から2016年の3年間で、部隊増強のために、公安武警大学を2か所、公安特別警察大学を5か所新設。そのための予算として、285億元(約5130億円)を計上する。
また、北京や上海、重慶、天津の直轄市のほか、石家荘、瀋陽、済南などそれぞれ省・自治区の中心都市と新疆ウイグル自治区内の主要都市の計30都市を「反テロ地域」に指定。これらの都市の警備や巡視などで、不足する武警、公安を補充するために、今年度退役予定の26万人の軍兵士のなかから5万~5万5000人を選抜して、武警部隊に配属する方針だ。
習近平政権は武警などを増強する一方で、テロ犯の摘発にも力を入れている。特に、新疆ウイグル自治区では6月だけで400人以上の容疑者が逮捕されているほか、すでに逮捕され立件・起訴された113人の裁判が行なわれ、懲役10年から無期懲役刑の判決が下されている。
北京紙「北京青年報」によると、昨年10月に自動車テロで40人以上が死傷するという事件が発生した北京市では今年上半期だけで、ウイグル族を中心に8400人の身柄が拘束されている。