ビジネス

ライフネット生命岩瀬社長「電話で声を届けると相手に響く」

 生命保険業界の風雲児──そう呼ばれた男は、会社立ち上げまで「保険」にまったくかかわったことがなかった。会長の出口治明氏(66)とともに、たった2人でスタートしたライフネット生命。そのトップ2人の年齢差も注目されたが、もっと興味深いのは、未経験の業界に飛び込んで会社をゼロから興して大手と戦おうという無謀にも見える決断の理由だ。彼はどのようにして、ビジネス上の人脈を築き上げてきたのか? ライフネット生命保険社長の岩瀬大輔氏(38)に話を聞いた。

──企業で仕事をしている人は、会社以外で「尊敬できる人」や「信頼できる仲間」と出会うと言っても、難しいのが現実だ。

岩瀬:多くの人は、仕事とプライベートで人間関係を分けていると思いますが、私はそうではありません。仕事で知り合った人でも、いろいろなコミュニティや勉強会で知り合った人でも、いいなと思った人とは「友人になりましょう」と言います。自分から“好き”になってしまうのです。好きになると、相手も好意を返してくれるもの。ビジネスの時間には仕事相手としてつきあい、仕事から離れたらひとりの仲間としてつきあう。

 月並みかもしれませんが、丁寧に、マメにつきあうことは意識しています。たとえば今でも、中学の同窓会の幹事を買って出ます。タクシーでの移動中には、思いついた新旧の友人たちに電話をします。一昨年の3月、わが社は東証マザーズに上場しました。その日は、かつてお世話になった30人ぐらいの人たちに直接電話してお礼を言いました。

 今お世話になっている人だけではなくて、以前お世話になった人にも一言挨拶する。相手の方のほとんどが「忙しいのに悪いね」なんて察してくださるので電話はすぐ終わりますが、上場という日にそれを直接伝えたことで、皆さんに喜んでいただけたようでした。メール全盛の世の中だからこそ、電話で「声」を届けることは相手に響くと思います。

──ビジネス上の人脈は、この人とつきあうのが損か得かという打算的なことを考えてしまう場合が少なくない。仕事上の知人と、「仲間」になるのは難しいのでは。

岩瀬:実は私も、ある大企業のオーナーの息子と、打算的なつきあいをしたことがあるのです。自宅に呼んで、食事をふるまったこともありました。でもやっぱり、そこまで親しくなれないのです。「尊敬」より先に「打算」がある関係は、ぎこちなくなってしまう。

 年齢、男女、立場を問わず、「自分にないもの」を持っている人を私は尊敬します。尊敬から出発した関係は、それがビジネス上のものであっても、最終的にプライベートでもいい仲間になれると思います。

※SAPIO2014年8月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
“鉄ヲタ”で知られる藤井
《関西将棋会館が高槻市に移転》藤井聡太七冠、JR高槻駅“きた西口”の新愛称お披露目式典に登場 駅長帽姿でにっこり、にじみ出る“鉄道愛”
女性セブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン