巧みな話術や歌で、旅を盛り上げてくれるのがバスガイドさん。多種多様なツアーを展開する「はとバス」入社2年目の高橋里奈さん(19才)さんは、こう話す。
「もともと人前で話したり、人を笑わせたりするのが好きだったのでそういう仕事がないかなと探してました。修学旅行で京都と奈良に行ったとき、ガイドさんが歴史の話を学生が退屈しないよう一生懸命楽しく話してくれて、私もやりたいと思ったんです」
高校3年の修学旅行で観光バスに乗った経験からはとバスガイドになることを決意し、入社試験を受けた。
「入社試験では、スピーチや全国の観光地名を当てるというテストもありました。歌の試験では実際にバスに乗って、客席に座った面接官の前でマイクを使ってアカペラで歌うんです。私は荒井由実の『卒業写真』を歌いました」
試験結果は合格。高校卒業後すぐの3月から始まった1か月半にわたる研修は厳しかったとか。
「全員が寮に入り、共同生活をしながら発声練習、姿勢、言葉遣いといった基礎を学びます。また、観光案内する内容が書かれた教本を丸暗記します」(高橋さん)
覚えなければいけない教本は都内のコースだけで厚さ3cm! 日比谷通り、皇居の前、霞が関の横、など都内各所の案内文が詰め込まれている。高橋さんのデビューは、昨年の4月28日。
「私は『よくばりTOKYO』という下町からベイエリアまで東京を丸一日かけて回るコースを任されました。新人には盛りだくさんの内容で、同期の間では『いちばん避けたいコース』と言われていました(笑い)」
ところで、バスガイドさんってみなさん美しいですが、メイクやヘアスタイルのルールはあるものなの?
「すっぴんは許されず、必ずメイクするのがルール(笑い)。濃すぎても薄すぎてもいけません。髪の色は明るすぎるのは禁止です」(高橋さん)
ガイド充実のため、休日も仕事という。
「東京に新しいランドマークができれば覚えなければいけませんし、案内にアレンジを加える工夫も必要です。休日も翌日の担当コースを予習します。コースを回っていても、信号や渋滞で話すスピードを変えるなど臨機応変さが求められるので、ただ教本を暗記してもダメ。
お客様から『ありがとう』と言っていただいたり、拍手をいただくと嬉しいですね。2年目に入って基本は身についてきたので、今後は面白い話題を取り入れて自分の言葉で楽しいガイドをできるよう頑張っていきます」(高橋さん)
バスガイドさんの巧みな話術や、車内に響く歌声の裏にはこんな努力があったんです!
※女性セブン2014年7月31日・8月7日号