15歳、史上最年少で「会津中央病院杯」に優勝し、タイトルを獲得した囲碁棋士、藤沢里菜さん。囲碁界に誕生したニューヒロインとして、一気に注目されている。
進学していれば高校1年生だが、高校には行っていない。はてさて、毎日何をやって過ごしているのだろうか。囲碁棋士の生活とは? その素顔に迫ってみよう。
プロになって4年目の里菜さん。ようやく最近、プロの世界がわかってきたという。そんな里菜さんの毎日は、囲碁が中心だ。
毎週木曜日が手合(試合)の日。その前日の水曜日は家でゆっくり碁の勉強(!)をする。そのほかの日はすべて研究会で埋まっている。
研究会では張栩九段ら超一流棋士と打ってもらう機会もあり「すごく勉強になり、ありがたい。私なんかといいのかなと思います」と里菜さん。
また、月に1回はNHKでテレビ棋戦の読み上げ(記録)の仕事がある。日曜の昼にNHK―Eテレで里菜さんの姿をご覧になったかたもいるだろう。
テレビ出演の衣装は自前だ。月1回、ショッピングに行って洋服をまとめ買いするという。またそんな遊ぶ日には、「友人の星合志保ちゃん(棋士)とカラオケに行きます。ファンの方から歌ってといわれることがあるので練習しないと。みんなの前だと緊張しちゃうので。好きなのはYUIの歌」と里菜さん。心に響く歌詞が好みのようだ。
たまには旅行でもしたいでしょう? と聞くと、「行きたいけれど、手(腕?)がにぶっちゃうのがこわくて……。手合も毎週あるので、長期はとても無理です」。まるでアスリートのような発言だ。
1日だけならリフレッシュもする。先日、3年ぶりにディズニーシーに行ってきたという。「手合に負けて悔しくて。次の日台風が来るという予報だったけれど、もう台風に当たるなら当たれとヤケになって行ったのですが、当日は晴れ。人も少なく、人気アトラクションを10分待ちくらいですいすい楽しめました」と里菜さん。
なんと強運の持ち主なのだろうか。里菜さんが子どものころから修業した洪道場を主宰する洪清泉二段も、里菜さんの強運を口にした。
「成長していく上で、だれでも壁はあるものです。それを乗り越えてプロになるのですが、里菜は節目ですーっと、苦労をそんなにせず通っていきます」。
プロ試験を通過したときも強運だった。プロ試験は予選を勝ち抜いた9人の総当たりによるリーグ戦で、土日に1局ずつ。1か月の長丁場になる。
最終戦、自分が勝っても他の人が勝ったらプロになれないという状況で、プロになることができた。史上最年少、11歳6か月でプロになれたこともすごいが、院生(プロの養成機関)に入って1年でプロ入りできるとは、異例の早さだ。
「おじいさんの藤沢秀行先生が里菜を守っている」と洪二段。そう信じている棋士は他にも多い。史上最年少でタイトルをとったときも、立会人だった武宮正樹九段が「秀行先生が見守っているね」とコメントした。