夏の甲子園大会をめざし、全国の高校球児が予選を戦っている。私学の強豪がひしめく大阪府大会は「全国大会よりレベルが高い」ともいわれる。かつてこの難関を突破した府立校が1990年の渋谷だ。エースで4番の2年生・中村紀洋(現横浜)がチームの大黒柱だった。
中村が無名の府立を選んだ理由は「1年から試合に出たかった」から。決勝で対戦した上宮は、エース・宮田正直(元ダイエー)、藪田安彦(現ロッテ)など後にプロとなる選手が多数所属するスター集団だったが、中村は宮田から2本の特大ホームランを放つ大活躍だった。
当時から中村のビッグマウスぶりは変わらず。「PL学園の清原(和博・元西武など)さんの府大会本塁打記録(5本)を抜きたい」と公言。結果4本に終わったものの、決勝の後には「清原さんは抜けなかったが、上宮の元木(大介・元巨人)さんは抜いた」と胸を張った。この後、大阪の府立校は甲子園出場を果たしていない。
※週刊ポスト2014年7月25日・8月1日号