犬猫の殺処分がたびたび問題視されるが、なかなかゼロになる気配はない。ペット先進国といえばオランダながあがるが、アメリカはどうなのか? Can! Do! Pet Dog Schoolで科学的な理論に基づく犬のしつけを指導する西川文二氏が、アメリカはペット先進国なのかについて解説する。
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「この帽子ドイツんだ? オランダ」っちゅう、ダジャレの古典でおなじみの2国。実はペット先進国としても、名を馳せてる。
犬や猫の殺処分がゼロまたはそれに近い、原則的に展示販売をしてない、生後8週齢までは親元にいさせる、ってなところがペット先進国の共通した特徴。イギリスなんかも肩を並べる。
はて、いろんな面で先進国と称されるアメリカってのは、どうなの? って、私め調べてみました。
『犬が私たちをパートナーに選んだわけ』(ジョン・ホーマンズ著)によれば、2010年、アメリカでは約7700万頭の犬が飼われてて、一方で870万頭以上が殺処分されたらしい。
同年の日本のデータでは、1186万頭の犬が飼われてて、約5万1千頭の犬が殺処分されてる。日米共にペット先進国とはとてもいいがたいけど、殺処分比率(母数を飼育頭数のみにするか、飼育頭数プラス殺処分数にするかなどで、数字は違いますけどね)の比較では、アメリカは日本よりもかなりペット後進国、っていえる。
アメリカには、凶暴な犬を次々と制圧する、タレントなみに有名なカリスマ・トレーナーなる御仁がおる。でも彼をカリスマと位置づけてる限り、アメリカの殺処分数は激減しないでしょうな。だって、重要なのは噛まない犬に育てること。噛みつく犬に育てちまって、それを制圧することではないのですからね。
しかもこの制圧に失敗したらどうなるか。先のアメリカの数字は、その結果を表してるともいえる。
目指すべきは制圧ではなく、共生。さすれば自ずとペット先進国へと近づくことができるでしょうよ、日本もアメリカも。
※週刊ポスト2014年7月25日・8月1日号