現在の制度では、厚生年金に加入している夫を持つ主婦(パート含む)は『第三号被保険者』となり、年収が130万円以上にならない限り、自分で年金保険料を納めなくても、老後は年金を受け取ることができる。
だが、この"優遇"があるために、年収130万円を超えて働くことをセーブする女性も少なくない。そこで国は、年金の"支え手"を少しでも増やすため、パート主婦にも保険料を負担してもらおうと計画している。
「年金博士」こと社会保険労務士の北村庄吾さんはこう語る。
「今回の財政検証では、月5万8000円以上の収入があるパート主婦に厚生年金に加入してもらおうという試算が出ています。対象は1200万人におよびます」
もし、実現した場合、パート主婦が払う保険料はいくらになるのか。ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんが計算してくれた。
「仮に、月8万円をパートで稼いでいた場合、給与から天引きされる年金保険料はおよそ月6850円。年間では約8万2000円の負担になります」
一方、保険料を払う分だけ、年金額は増える。 「15年間払い続けた場合、年金は年間7万8900円増やすことができます」(井戸さん)
一見、もらえる年金額(年間7万8900円)より負担額(年間8万2000円を15年)のほうが多そうだが、受給が16年目以降になると、元はとれる計算に。
だが、夫の扶養を外れることになるので、年金保険料以外に健康保険料も自分で払う必要があり、月8万円の収入ならば手取りは1万円近く減ってしまう。家計のために働きに出ているのに、約2日分の給料が飛ぶのはつらい。かといって、5万円以下に抑えて働けば、貯蓄に回せる部分はなくなる…と、悩ましいが、「老後の備えができる」と前向きにとらえ、働く時間を増やして手取り減収分をカバーするのが得策といえそう。
※女性セブン2014年7月31日・8月7日号