ニュースキャスターとしてピント外れの言動が目立つとの指摘もある古舘伊知郎氏。精一杯、知性を演出しているようなのだが、その言葉はあまりに空疎だ。そのちぐはぐな言動をメディア論が専門の関東学院大学教授・新井克弥氏が分析する。
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古舘の言動には都合のいい「権威」を見つけてはひれ伏すところがある。番組コメンテーターである恵村順一郎・朝日新聞論説委員が今後のG7に期待される役割について論じると、恵村を各国リーダーと同列に扱いこう持ち上げた。
「各国のトップが恵村さんのような考えの人じゃない気がするんですよ」(6月5日)
かつて一世を風靡したプロレスやF1実況での古舘スタイルは、アントニオ猪木やアイルトン・セナら「権威」を手放しでヨイショして、敵や手下を脇役にするものだった。
例えば、セナを『音速の貴公子』とする一方、ライバルのプロストを悪代官に仕立て、『勝ちゃあ、いいんだろう走法』と揶揄した。世界の複雑さをデフォルメし、単純な勧善懲悪ドラマを仕立てるのが「古舘ワールド」の基本形なのだ。
しかし、報道では政治家や官僚をヨイショするわけにもいかない。そこで、朝日新聞という権威(恵村)にひれ伏して「そうですね」を連発し、卑屈なイエスマンぶりを発揮する。一方、恵村が批判する対象には傲慢さを見せる。
※SAPIO2014年8月号