国際情報

日本独自の諜報機関設立に向けてイスラエルや英へ訓練依頼を

 9.11テロが起きる前、テロリストたちがフロリダやアリゾナで飛行訓練を受けているという情報があったにもかかわらず、CIAとFBIはまったく動こうとしなかった。以来、アメリカの諜報活動は凋落するばかりだ。だが、いまや諜報活動は日本にとっても喫緊の課題だ。一刻も早く諜報機関の設立をするべきだと考える作家の落合信彦氏が、その理由と方法について解説する。

 * * *
 アメリカが凋落するなか、日本に残された道は、自前の諜報機関を作ることしかない。私は以前からそのことを主張してきたが、いよいよ事態は逼迫している。

 中国はいま、尖閣諸島海域の領海侵犯を繰り返しており、尖閣をめぐる武力衝突がいつ起きてもおかしくない。断言してもいいが、米軍はそのとき、絶対に日本のために血を流すことなどしない。

 さらに現在、中国はアメリカと並んで日本に多くのスパイを送り込み、協力者も含めれば数十万人がいつでもテロを起こせる状態にあると言われている。ところが、アメリカと違って警察権力の弱い日本では、限りなく黒に近い人物でもスパイ容疑で逮捕することができない。いま現在、そうした中国人スパイが野放しの状態にある。

 だからこそ、日本には一刻も早い諜報機関の設立が望まれるのだ。

 とはいえ、諜報の経験のない日本人に、ゼロからそれを作り上げる能力も、時間的余裕もない。そこで私は、世界最強の諜報機関、イスラエルのモサドまたはイギリスのMI6の元教官たちに訓練を頼むのも、一つの手だと考えている。もちろん、日本ではなく彼の地でやらなければならない。

 モサドはCIAと違い、いまなおヒューミントを重要視し、世界中に散らばった優秀なエージェントたちが、地の果てまでも対象を追い詰めている。

 その典型が1972年のミュンヘン五輪で、11人のイスラエル選手らがパレスチナのテロリストに暗殺された事件の「その後」だろう。

 この事件は確かにモサドにとって失態だったが、モサドは何の弁解もせず沈黙を貫き、なんと20年かけて計画を立案した諜報局のトップをはじめ、関係者を暗殺していった。CIAが最近、ツイッターを始めて自らの存在をアピールするという諜報機関にあるまじき行動をしているのとは、意識レベルがまるで違う。

 その差は、詰まるところ国民の危機意識の差だろう。「世界の警察官」を放棄したアメリカと違い、つねに国家的危機に瀕してきたイスラエルでは、国民の側が国家に優秀な諜報機関を求め、モサドにも常に高いレベルを要求する。

 だからこそ、モサドは20年がかりで自らの失態を挽回する必要があったのだ。日本の諜報機関作りは、まずこうした危機意識を学ぶところから始めなければならない。

※SAPIO2014年8月号

トピックス

逮捕された波多野佑哉容疑者(共同通信)。現場になったラブホテル
《名古屋・美人局殺人》「事件現場の“女子大エリア”は治安が悪い」金髪ロングヘアの容疑者女性(19)が被害男性(32)に密着し…事件30分前に見せていた“親密そうな様子”
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン
マッチングアプリぼったくり。押収されたトランプやメニュー表など。2025年5月15日、東京都渋谷区(時事通信フォト)
《あまりに悪質》障害者向けマッチングアプリを悪用した組織的ぼったくりの手口、女性がターゲットをお店に誘い出し…高齢者を狙い撃ちする風俗業者も
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下の「慰霊の旅」に同行された愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、皇室とご自身の将来との間で板挟み「皇室と距離ができればこうした仕打ちがある」という前例になった眞子さんの結婚 将来の選択肢を“せばめようとする外圧”も 
女性セブン
“じゃないほう”だった男の挑戦はまだまだ続く
「いつか紅白で『白い雲のように』を歌いたい」元猿岩石・森脇和成が語る有吉弘行との「最近の関係性」
NEWSポストセブン
「ピットブル」による咬傷事故が相次いでいる(左・米軍住宅参考画像)
《沖縄で相次ぐピットブル事件》「チェーンを噛みちぎって引きずった痕も…」自治体が狂犬病の予防接種すら把握できない“特殊事情”「米軍関係者の飼い犬だった」 
NEWSポストセブン
白鵬の活動を支えるスポンサー企業は多いと思われたが…
白鵬「世界相撲グランドスラム」構想でトヨタ以外の巨大スポンサー離反の危機か? “白鵬杯”スポンサー筆頭格SANKYOは「会見報道を見て知った。寝耳に水です」
週刊ポスト
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルの飛行機でスヤスヤ》佳子さまの“寝顔動画”が拡散…「エコノミークラス」に乗った切実な事情
NEWSポストセブン
6月13日、航空会社『エア・インディア』の旅客機が墜落し乗客1名を除いた241名が死亡した(時事通信フォト/Xより)
《エア・インディア墜落事故》「ボタンが反応しない」「エアコンが起動しない」…“機内映像”で捉えられていた“異変”【乗客1名除く241名死亡】
NEWSポストセブン
ロスで暴動が広がっている(FreedomNews.TvのYouTubeより)
《大谷翔平の壁画前でデモ隊が暴徒化》 “危険すぎる通院”で危ぶまれる「真美子さんと娘の健康」、父の日を前に夫婦が迎えた「LAでの受難」
NEWSポストセブン
来来亭・浜松幸店の店主が異物混入の詳細を明かした(右は来来亭公式Xより)
《“ウジ虫混入ラーメン”が物議の来来亭》店主が明かした“当日の対応”「店舗内の目視では、虫は確認できなかった」「すぐにラーメンと餃子を作り直して」
NEWSポストセブン
金スマ放送終了に伴いひとり農業生活も引退へ(常陸大宮市のX、TBS公式サイトより)
《金スマ『ひとり農業』ロケ地が耕作放棄地に…》名物ディレクター・ヘルムート氏が畑の所有者に「農地はお返しします」
NEWSポストセブン