ここ最近、年金に関するニュースが増えている。というのも、厚生労働省が6月、5年に1度行う公的年金の『財政検証』の最新版を発表したためだ。この『財政検証』は年金の“健康診断”ともいわれ、将来もらえる年金額が世代別に詳しく記されている。ただ、その複雑さゆえに誤解も多く、正しい知識を知らずにいると、損をしてしまうことも。
現在45才の場合、65才で年金を受け取るまでに20年間あり、ニッセイ基礎研究所年金総合リサーチセンター・中嶋邦夫主任研究員の試算では、支給される年金額は現在より3万円ほど低い月額19万円にまで目減りする。さらに、40代は年金をもらい始める年齢が65才より遅くなる可能性まである。
「1年前に、年金の支給開始年齢を65才から68才にまで引き下げるという案が、内閣官房の社会保障制度改革国民会議の報告書で提案されました。報告書では『中長期的課題』とされていますが、厳しい年金財政を考えると、実施する可能性が高い。40代以下の世代は、68才からの受給を覚悟しておいたほうがいいですね」
と話すのは社会保険労務士の北村庄吾さん。なぜ40代以下が危ないのか。
会社員が受け取る厚生年金は、現在60才→65才支給への引き下げの途中段階にある。2013年から3年ごとに1才ずつ引き下げられており、2025年に65才から年金を受け取るようになる。
これが65才支給でとどまらず、2025年以降も3年ごとに1才ずつ引き下げられるとしたら、2028年に66才支給、2031年に67才支給、2034年以降は68才支給となる。つまり、2034年以降に68才を迎える今の47才以下がひっかかってくるのだ。
「日本よりも高齢化がゆるやかなアメリカやドイツでも、すでに年金支給開始年齢を65才→67才へと引き下げ中です。世界的には自然な流れといえます」(前出・中嶋さん)
年金が68才支給になるころには68才定年も定着していると願いたいが、その年まで働けないケースもあるだろう。今のうちから、どう準備するかがポイントになる。
※女性セブン2014年7月31日・8月7日号