理化学研究所の小保方晴子・ユニットリーダーが書いた博士論文に数々の不正が指摘されたことについて、学位を与えた早稲田大学は調査委員会を設置し、このほど報告書の全文を公開した。
改めて、小保方氏のいい加減さが証明された。論文の第一章は80%が剽窃(パクリ)であり、画像、イラストの剽窃も多数見つかった。なんと参考文献のリストすら別の論文からコピーしていた。
その他、画像があるのに説明文がない、意味不明の用語が使われている、論旨不明箇所が多数、実験手続の記載なし、誤字脱字が42か所などと指摘され、さすがに報告書も「合格に値しない論文」と結論づけた。
小保方氏について、「博士学位を授与されるべき人物に値しない」と断じたのは、当然で正しい結論だろう。
ところが、である。同報告書はそれでも学位剥奪はできないとした。小保方氏が調査委に対し、「この論文は草稿段階のものを間違って製本したもので、ちゃんとした本物は別にあった」と主張したことを事実と認定し、「不正はあったが故意ではない」という判断を下したのである。
百歩譲って、小保方氏が「こっちが本物」と提出した論文が当時作られたものだ(今回の騒動後に捏造したものではない)としても、その論文にも剽窃が多数ある。報告書もそれらを著作権法違反と認定している。
違法行為を犯してインチキ論文を提出して学位を取り、「私は工学博士」と名乗って大金を得てきたことが、「不注意なミス」で許されるのか。
報告書では寛大な処分を下す理屈として、学位を剥奪すれば小保方氏の「生活の基盤、社会的関係を破壊する」からだと主張するのだが、不正に対して認識が甘すぎる。
※週刊ポスト2014年8月8日