韓国人男性とフィリピン人女性の間に生まれた子供は「コピノ」(Kopino:KoreanとFilipinoを合わせた造語)と呼ばれ、急増しているという。
その呼び名を聞くと、多くのフィリピン人は顔をしかめる。なぜなら、コピノの多くは本来父親であるはずの韓国人から、見捨てられているからだ。
ウォールストリートジャーナルは、韓国人男性がコピノを見捨てる理由を、「貧しい国の女性との間に生まれた子という理由で、韓国社会で差別を受けるから」だと解説する。
そうした韓国人の姿勢を問題視し、コピノを支援するフィリピン国内の団体代表は、母子が置き去りにされる理由をこう説明する。
「コピノの父親である韓国人男性は観光客、語学留学生、ビジネスマンなど様々です。オフィスで知り合い交際する男女もいます。
しかし、離婚率が高い韓国では、文化の違うフィリピンの女性と結婚してもすぐに離婚してしまう可能性があります。その場合、多くはフィリピン人女性が親権を持ち子供を1人で育てなくてはならなくなります。
また、韓国ではフィリピン人女性との交際や子供の出産が発覚した場合、世間体の問題からその男性が会社から解雇される可能性があります。
すでに韓国人妻がいる男性は、フィリピンでの現地女性との関係が妻にバレて離婚になってしまうと、当然、慰謝料が発生してしまいます。それらのリスクを避けようとフィリピン人女性と子供を置き去りにして自分だけ帰国してしまうケースが多いのです」
また、国民の85%がカトリック教徒のフィリピンでは、教義で中絶が禁止されているため出生率が高く、そのこともコピノ増加の一因になっている。
取材協力■水谷竹秀(ノンフィクションライター)、永田貴聖(立命館大学専門研究員)
※SAPIO2014年8月号